出生率低下にあえぐ中国政府が少子化問題解決のため、女性たちのプライバシーを侵害しかねない生理現象に関する聞き取り調査まで行っているという。
8日(現地時間)、「ニューヨーク・タイムズ(NYT)」は「中国政府が出生率向上のために公務員を動員して、女性たちのもとを訪れ、直接、妊娠・出産計画を調査している」と報じた。
NYTによると、中国政府は各家庭に公務員を派遣し、妊娠・出産計画について聞き取り調査を行っており、一部の女性は生理周期や直前の生理日まで公務員に報告しなければならなかったという。
ある女性は婚姻届を提出した際、公務員から強く出産をすすめられた。
その時は結婚を祝福するための挨拶のようなものだと気に留めていなかったが、その後、該当の公務員は頻繁に電話で妊娠の有無を確認してきた。
さらに、出産後には自宅までおしかけてきて、赤ちゃんと一緒に写真を撮らせてほしいと要求してきたという。
中国の女性たちは妊娠を確認した後、妊娠期間中から出産まで一貫して政府によって管理される。
地域の保健所に妊娠事実を登録しなければならず、公務員が定期的に健康状態をチェックしてくる。
中絶手術を受ける際、一部の地域では地域の家族計画関連部署の許可を得る必要があるところもある。
このような露骨な介入に対し、多くの女性が不快感を訴えたが、一部の女性からは政府の関心に感謝する声もあがったとNYTは伝えた。
中国の合計特殊出生率は2023年基準でアメリカ(1.62人)よりも低い「1.0」人と推計されている。
昨年11月、習近平国家主席は「国家発展のために結婚と出産に向けた新しい文化を積極的に構築する必要がある」と強調した。
中国政府の高官たちも機会があるたびに出産を奨励するメッセージを発信している。
カリフォルニア州立大学アーバイン校のワン・フェン教授は「政府が出産を公共事業だと主張するようなことは、出産するか否か女性の選択する権利を支配しようとする中国政府の思考が変わっていないことを示している」と指摘した。
一方、中国政府は1979年に導入した「一人っ子政策」を転換し、2016年に「二人っ子政策」を正式に施行した後、2021年5月には「三人っ子政策」まで認める方針を発表した。
しかし、合計特殊出生率への効果は確認されていない。