年内で海外旅行を計画している人々に、新たな懸念が生じている。一部の国が観光税や追加料金を導入すると予告しており、いわゆる「税金爆弾」の懸念が高まっているためだ。特に、ギリシャやスペインなどの人気観光地でこの動きが活発である。
7月6日(現地時間)にスペインのバルセロナで、観光客に反対するデモが行われた。
旅行業界によると、今年の国際旅行者数はパンデミック前の水準を上回ると予測されている。これにより、観光需要の回復に伴う経済的な利得と、過剰観光による副作用との間に摩擦が生じている。観光客の急増に伴い、「観光に来ないでほしい」といった現地住民の「アンチ・ツーリズム」運動も現れている。
コロナウイルスの拡散初期に、欧州のほとんどの国が国境を封鎖していたが、観光業の沈滞を救うために、迅速に入国制限の緩和を進めた。ヨーロッパの代表的な観光大国であるイタリアとスペインは、2020年の夏休みシーズンに向けて観光を再開し、観光客を誘致するために積極的に取り組んだ。
昨年に引き続き、今年も新型コロナ後の旅行需要の急増により、国際観光客の数が大幅に増加する見込みである。国連世界観光機関(UNWTO)の予測によると、今年の海外観光客数は約15億人に達する見込みであり、これはパンデミック前の2019年をわずかに上回る水準である。昨年は約12億8600万人が訪れ、2019年の88%まで回復した。
旅行需要の急増により、主要な観光都市には観光客が集中している。観光税の引き上げを通じて過剰観光問題の解決に取り組む国もあれば、混雑や不衛生な状況、物価の上昇、質の低い土産物店などに不満を持ち、観光客の受け入れに反対するデモを行う国も存在する。
ギリシャでは、ホテル宿泊客にのみ課されていた観光税を、クルーズ乗客にも適用することが決定された。ギリシャの港に到着するすべてのクルーズ乗客は観光税を支払う必要がある。昨年、クルーズ船を利用してサントリーニ島を訪れた観光客は約130万人に達した。観光客が多く訪れるサントリーニ島とミコノス島では、追加料金が発生し、繁忙期の4月から10月には宿泊料金と一緒に気候税も引かれる。
ギリシャを訪れる観光客は年々増加している。ギリシャ中央銀行によると、2023年にギリシャを訪れた観光客は前年比20%増の3600万人に達した。今年の上半期には1160万人が訪れ、前年同期比16%の増加となった。
今年の7月までに5000万人が訪れたスペインでは、過剰観光に反対する大規模なデモが行われた。一部のデモ参加者は観光客に水鉄砲を撃ちながら「観光客は帰れ」と叫び、レストランのテラスに座れないように立ち入り禁止テープを貼ることもあった。彼らの訴えは、観光客の急増により物価が急上昇し、ゴミや騒音による被害が大きいというものであった。
過剰観光問題を解決するために、観光税を引き上げる国もある。ニュージーランドは、現地時間の1日から観光税を従来の35ニュージーランドドル(約3164円)から100ニュージーランドドル(約9040円)に引き上げた。自然保護区の維持管理費が増加するため、地域社会への負担が大きく、経費を調達するために税金を上げざるを得ないという主張である。
ただし、一部では懸念の声も上がっている。新型コロナ以降、観光客数が完全には回復していない状況での観光税の引き上げは、他国に観光客を奪われる原因となり、ニュージーランドの競争力を低下させるのではないかと懸念されている。昨年ニュージーランドを訪れた外国人の数は約295万人で、コロナ以前の76%の水準に留まっている。
また、韓国の海外旅行の需要も2019年に近い水準まで回復している。1〜8月の累積出国者数は1888万人に達し、8月単月では235万9550人と、2019年同月の約97%に回復した。各国の観光税引き上げにより、旅行需要が減少すると予測する声もあったが、業界は依然として需要があると見ている。
旅行業界の関係者は、「観光税は旅行費用の約3%程度であり、旅行の障害になるほどではないと思われる。また、パッケージツアーの場合、すでに各種税金が含まれているため、消費者はその影響を感じないことが多い」と説明している。