2年以上続いているウクライナ侵攻によって莫大な人的被害を受けているロシアが、前線に北朝鮮軍を投入したというウクライナの主張に対して、「関係のないこと」という反応を示した。西側諸国の専門家たちは、北朝鮮軍が無人機(ドローン)や各種の先端技術が動員された今回の戦争で重要な戦闘経験を得るだろうと予測している。
16日(現地時間)、ロシア外務省がホームページに公開した発言録によれば、マリア・ザハロワ報道官はウクライナの「北朝鮮軍が参戦している」という主張に対しての質問に、「特別軍事作戦参加者の構成は国防省が確認することだ」と述べ、正確な回答を避けた。
同日、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は議会で「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の犯罪者連合に、北朝鮮も含まれている」と述べた。続けて、北朝鮮が事実上ロシア側で戦争に参加しているとし、情報機関を通じて人員投入の事実を確認したと明かした。ゼレンスキー大統領は「戦争で亡くなったロシア人を補充するため、ロシアの工場と軍人に北朝鮮国籍者が投入されている」とし、「これは、ウクライナに対する戦争に二番目の国が参加したことになる」と述べた。また、彼はこの日、北朝鮮とともに中国とイランも「犯罪者連合」と呼び、非難した。
今月13~14日、ゼレンスキー大統領は演説で北朝鮮参戦説を相次いで提起し、ウクライナのメディアも15日に同様の疑惑を報じた。今年6月に北朝鮮と「包括的戦略的パートナーシップ条約」を締結したロシアは、すでに昨年から北朝鮮よりミサイルや弾薬など各種の武器を受け取り、ウクライナ前線に投入しているという。
15日(現地時間)、ウクライナの英字紙キーウ・インディペンデントは、西側の外交関係者の話を引用して、北朝鮮がすでにロシアの戦争のために1万人の軍人を派遣したと主張。また、ウクライナのメディアキーウ・ポストは、ロシアが北朝鮮軍約3000人からなる部隊を編成する計画であり、ロシア軍第11降下突撃旅団傘下の「ブリヤート特別大隊」に編成されると主張した。ブリヤートはロシア連邦内の共和国の一つで、韓国人と外見が似ているモンゴル系住民が多い。
ウクライナ侵攻を「戦争」ではなく「特別軍事作戦」と主張するロシア政府のザハロワ氏は、ゼレンスキー大統領の主張について「特別軍事作戦に誰がどう関与するかは彼とは全く関係のないことだ」と述べた。
ザハロワ氏は北朝鮮に関する回答を避ける代わりに、ブチャの虐殺を指摘し、ウクライナ政府が「他に言及すべきことがあるのではないか」と強調した。ウクライナは2022年、ロシア軍第234親衛空襲連隊がウクライナの首都キーウ近郊のブチャで大規模な民間人虐殺を行ったと主張していた。ザハロワ氏は「私たちも、国連事務総長も、ジャーナリストも、ウクライナ政権からロシア侵略で犠牲になった人々の名簿を受け取っていない」とし、「彼らの名前や出生、誰であるか知っている人は誰もいない」と指摘した。
16日(現地時間)、北大西洋条約機構(NATO)のマルク・ルッテ事務総長は記者会見で、北朝鮮軍の介入について「現段階でこのような報道を確認できないが、明らかに懸念すべき事実だ」と述べた。彼はNATOが北朝鮮のロシア軍支援について知っており、これを非難することを明らかにした。前日、アメリカ政府も似たような意見を表明した。
16日の報道でアメリカのニューヨーク・タイムズ(NYT)は、北朝鮮がロシアのウクライナ侵攻を支援しながら、武器性能を試すと同時に戦闘経験を積んでいると評価した。メディアは、北朝鮮が朝鮮戦争以降戦闘経験がなく、今回のウクライナ戦争を通じてドローンなどが投入される現代戦争での戦闘経験を得ていると評価している。