売春防止法違反で警察官に裸の状態を撮影された女性が韓国政府を相手に損害賠償を請求し、ソウル中央地裁で一部勝訴した。
17日に判決を下したチョ・ヨンギ部長判事は、被害者であるA氏が人権侵害を受けたと認め、「韓国政府は原告に800万ウォン(約87万円)を支払うべき」と述べた。
2022年3月、警察はソウルのある宿泊施設で売春行為が行われているとの情報をもとに、現場に急襲して裸の状態のA氏と買春客を携帯電話で撮影した。
A氏は写真の削除を求めたが、警察はこれを拒否し、取り締まりチームに所属する警察15人が利用するメッセージアプリに写真を「捜査情報」として共有した。
A氏の訴えを受けた韓国の国家人権委員会は昨年7月、警察の行為を人権侵害と見なし、警察庁長官に売春取り締まりに関する規定と指針を制定・改正するよう勧告した。
この決定を根拠に、A氏は「違法捜査により人権と基本権が侵害された」として、韓国政府に5000万ウォン(約545万円)の損害賠償を請求したという。
A氏の売春防止法違反容疑に関する刑事裁判の1審では、A氏に罰金刑を言い渡されたものの、「該当の写真は違法に収集された証拠」として有罪判断の根拠から排除された。控訴審裁判所もこの判断に問題がないと認めた。
これを受け、民事・刑事訴訟の裁判所はすべてA氏の主張を認める形となった。