イスラエル軍がパレスチナのイスラム組織「ハマス」の最高指導者シンワル氏を殺害したことで、民主党の大統領候補であるハリス米副大統領にとっては、大統領選に向けた好材料になるのではないかという分析がでてきている。
また、緊張状態にあった中東情勢に変化があるのではないかと見る意見も各方面からあがっている。
17日(現地時間)「CNN」は「シンワル氏の死は緊迫する中東情勢の分岐点となるだろう」とし、「これまで解決策をめぐって平行線をたどっていたアメリカのバイデン大統領とイスラエルのネタニヤフ首相の意見のすり合わせが容易になるとアメリカ当局者たちは考えている」と報じた。
同日、激戦州の1つであるウィスコンシン州を訪問していたハリス副大統領はシンワル氏殺害に関連し「ついにガザ戦争を終わらせる機会が訪れた」とし、「イスラエルの安全が守られ、人質の解放はもちろん、ガザ地区の苦痛も終わって、パレスチナ住民の尊厳や安全、自由、自決権が実現されるように、必ず戦争を終わらせなければならない」と強調した。
ハリス副大統領は平和的な解決に重きをおいているとされているが、基本はバイデン政権の方針を継承している。
しかし、およそ3週間後に大統領選を控え、すでにレイムダック状態にあるバイデン政権をイスラエルが事実上「無視」し、中東で激しい軍事行動を続けているため、ハリス副大統領にとっては逆風となっている。
バイデン大統領は過剰な軍事行動の自制と外交的に解決することを何度も促してきたが、ネタニヤフ首相はこれを無視し、堅固な両国の関係にも一部ほころびが見えていた。
しかし、シンワル氏が亡くなったことでイスラエルとハマスの停戦交渉や人質解放の可能性が高まったという分析が出てきており、ハリス副大統領にとっては大統領選に向け好材料となるという見方がある。
同日、バイデン大統領はエアフォースワンの機内でネタニヤフ首相と緊急通話を行い、今後の中東情勢に対する方針などを議論した。
イスラエル首相官邸もプレスリリースを通じ、「両首脳は人質解放を進展させる機会が来たと共感し、人質解放のため、力を合わせるべきだという意見で一致した」と明らかにした。