68歳男性、交通事故後44年間の記憶を失う
交通事故で昏睡状態に陥った後、ようやく目覚めた68歳の男性が約44年間の記憶を全て失うという衝撃的な事件が発生した。
先日22日(現地時間)、イタリアのメディア「Il Messaggero」は、イタリア人男性のルチアーノ・ダダモ(Luciano D’Adamo/68)が2019年に交通事故に遭った後、最近意識を取り戻したが、約44年間の記憶を全て失ったと報じた。
報道によると、ルチアーノ・ダダモが最後に記憶しているのは1980年にローマの自宅を出た瞬間だったという。病院で会った妻や息子など、近親者さえも覚えていない。
ルチアーノ・ダダモは、現在の妻と結婚を控えていた頃の記憶に戻った。自分が結婚したという事実も、妻との結婚生活も全く記憶していなかった。鏡に映る自分の姿が自分だと認識するのにも苦労している。
ルチアーノ・ダダモ、母親の死も覚えていない
彼が昏睡状態から目覚めた後、最初にしたことは母親に電話をかけてほしいと頼んだことだった。しかし、彼が手にした携帯電話は1980年代にはなかったもので、使い方に戸惑ったという。ルチアーノ・ダダモは、すでに母親が亡くなった事実も覚えていなかった。
現在、ルチアーノ・ダダモは数十年間の技術進歩に追いつこうと努力している。ナビゲーション付きの車に乗ったときは驚きを隠せなかったという。
彼は「時々誰かが挨拶してくれるが、確かに昔の友人のように思えるものの、実は全く分からない。しかし、礼儀として知っているふりをして挨拶を返している」とメディアに語った。
さらに「一度も飛行機に乗ったことがないので、乗ってみたいと言うと、妻は『私たち一緒にパリに行ったじゃない』と答える。すると私は『君は行ったかもしれないが、私は行ったことがない』と言っている」と混乱した心境を吐露した。
ルチアーノ・ダダモは、昏睡状態から目覚めた後、医師と協力して失われた記憶の空白を埋めるよう努力している。