地球温暖化が進行する中、海水が膨張し、極地の氷が溶けることで海面が上昇している。海面上昇は、沿岸地域に住む住民にとって致命的な影響を及ぼす可能性がある。
そんな中、最近イギリスで海岸侵食により住居を失った住民が政府に対して訴訟を起こした。適切な気候対応や政策が欠如していたため、このような悲劇が生じたと主張したものの、結果的にこの住民は訴訟に敗れた。
イギリスの裁判所は、この男性の主張を受け入れなかった。今後、同様の訴訟が世界各地で続くことが予想されており、特に気候変動に注目が集まっている。
イギリスのノーフォーク州ヘムスビー（Hemsby）に住むケビン・ジョーダン（Kevin Jordan）と2人の原告は、国家の気候適応計画が不十分で違法であると主張した。彼らは海岸侵食の影響で、ヘムスビーにあった自宅を取り壊さざるを得なかった。
ジョーダンは、イギリスの国家適応プログラム3（National Adaptation Programme3, NAP3）に多くの問題があると指摘した。具体的には、NAP3が気候変動の現状を正しく把握し、予想される影響を適切に評価できなかったと述べた。彼は、政府の気候変動適応計画が不十分で違法だと主張した。
ロンドンの王立裁判所は彼らの主張を認めなかったが、具体的な判決内容はまだ公開されていない。
今回の事件の共同原告である「地球の友（Friends of the Earth）」の法律責任者であるウィル・ランドル（Will Rundle）は、「我々の法務チームは控訴するかどうかを決める前に、今回の判決の詳細をしっかりと研究する」と述べた。また、「今回の判決にもかかわらず、国家適応プログラムは絶望的で不適切で、住民を失望させるものだ」と批判した。
続けて「ますます悪化する嵐、洪水、猛暑から私たちを守るための強力で包括的な適応計画が、早急に整備されなければならない。何よりも 高齢者や障害者、気候変動で危険にさらされている地域に住む人々など、疎外された集団にとっては絶対的に必要だ」と強調した。
障害のあるジョーダンは、クリスマス直前にノーフォーク州ヘムスビーにある家を失った。当局は、家が北海に沈む危険があるため、取り壊さなければならないと判断した。
ジョーダンは、このような状況が発生したことについて、NAP3があまりにも不十分であり、生命、家、財産に対する人権と権利を侵害し、脆弱な状況にあるために差別を受けたと主張した。
弁護士であるデイビッド・ウルフKC（David Wolfe KC）は今回の事例を「今後他の人々が直面することになる状況」と予測した。
地球の温暖化によって引き起こされる問題から住民と地域社会をより良く保護するためには、新しく強力で包括的な適応プログラムが必要だということだ。
ウルフはジョーダンの訴訟について「非常に失望させられる判決」とし、「私たちを保護するための強力な政府政策がなければ、多くの人々が急激な気候変動の影響により自分の家、生活、収入が脅かされる恐怖に直面することになる」と警告した。
政府が気候変動に対する適応計画を強化しない限り、世界の他の地域もヘムスビーと同様の状況に直面することになるとの見通しが示された。
この過程で「気候不平等と不均衡」も引き起こされている。気候崩壊は世界中を脅かしており、障害者は不均衡に影響を受け、災害が発生した際により大きな被害を受ける可能性がある。
政府の気候適応計画が不十分な状況では、気候変動の影響により、多くの障害者が苦しみ、死亡する可能性があると付け加えた。