バス内で転倒して障害を負ったとして、バス共済組合に対して2億ウォン(約2205万円)以上の賠償を求めた乗客が、事故発生から4年後の1審で敗訴した。
Youtube「ハンムンチョルTV」によると、事故は2020年7月、慶尚南道昌原市(キョンサンナム道チャンウォン市)を走行するバスの中で発生した。当時、バスのドライブレコーダーの映像には、乗客A氏が交通カードをかざした後、片手にカード、反対の手に携帯電話を持ちながら立っている様子が映っていた。
その後、バスが停留所に停車するため減速した際、A氏はバランスを崩して転倒し、持っていた携帯電話が飛んで、頭をぶつけたような様子も記録されていた。
A氏側は「バスの運転手が停車時に急減速や急な車線変更を行ったため転倒し、怪我を負った」と主張した。また、「この事故により複合性局所疼痛症候群(CRPS)と診断され、障害等級の認定基準で15.5%の永久障害に該当する」と訴えた。
CRPSは、外傷や手術後の部位に激しい痛みが生じる難治性の疾患である。
A氏側はこの障害を根拠に、バス共済組合に対し、入院期間中の収入損失分235万ウォン(約25万8000円)、65歳までの推定収入損失額8500万ウォン(約936万円)、今後の治療費1億9500万ウォン(約2147万円)、慰謝料など請求額の80%に当たる約2億5000万ウォン(約2753万円)の賠償を求めた。A氏の過失は20%と見積もられたという。
しかし、裁判所は1審でバス共済組合に賠償義務はないとし、逆にA氏が治療費約1100万ウォン(約121万円)を共済組合に返還すべきだと判断した。
裁判部は「バスの減速時、他の乗客には特に変わった動きは見られず、A氏が両手で手すりを掴んでいなかったため転倒したと考えられ、バスの運転との因果関係を認めるのは難しい」と指摘した。また、証拠からはA氏の転倒が運転手の急な車線変更や急減速によるものと判断するのは難しいとした。
A氏側は判決に不服として控訴したと伝えられている。