ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、3日午前6時時点で、米国全体の事前投票者数が7500万人を超えたと報じた。これは、2020年大統領選挙の投票者数(約1億5460万人)の48%に相当する。現地メディアは、米国の有権者が新型コロナウイルスを経験する中で、事前郵便投票や対面投票に慣れてきたと評価している。
米国大統領選挙が迫る中、中国や日本など主要国の動きも緊迫している。中国は今回の米国大統領選挙で、次期大統領にどの候補が当選しても対中圧力政策がさらに強化されると見ており、対策作りに追われている。最近発足した石破内閣は、次期大統領が誰になるかによって対米戦略の調整をせざるを得ない状況にあり、外交および安全保障戦略に及ぼす影響を慎重に検討している。
■中国、包括的対策を準備
4日の現地報道によると、民主党のカマラ・ハリス副大統領と共和党のドナルド・トランプ前大統領は、いずれもバイデン政権よりも強硬な対中政策を主張している。△高関税による対中貿易赤字の縮小 △技術覇権の強化 △中国の地政学的影響力拡大の阻止など、両候補の公約は酷似している。
中国はトランプの「すべての中国製品に60%の関税を課す」という公約を第一段階と捉え、さらに強力な貿易分野での圧力を予想している。また、米国が中国を世界経済から切り離す経済的デカップリング策も一層強化されると見込んでいる。
半導体の重要素材および関連資源へのアクセスもさらに困難になると予想されており、中国は第三世界や一帯一路参加国とのサプライチェーン維持を通じて活路を見出そうとしている。
しかし、中国も圧力を黙って受け入れるつもりはなく、反撃の準備を進めている。
中国は、米国製品に対する関税率の引き上げや、ガリウム、レアアースなどの重要鉱物の供給停止、さらには米国債の売却といった対抗措置を検討している。また、人民元安の誘導や輸出業者への補助金拡大、金利引き下げによって、自国経済への衝撃を緩和する策も講じている。需要の低迷やインフラ投資の不振といった景気後退の中で、中国は輸出に活路を見出そうとしている。特に、米国の露骨な牽制を受けながら、アジア、アフリカ、南米など非西洋圏諸国への輸出市場拡大に力を入れている。
しかし、グローバル資産運用会社のUBSは、米国が対中関税率を60%に引き上げた場合、今後1年間で中国の成長率が2.5ポイント低下する可能性があると予測している。依然として利益率10%未満の中国企業の大半が、米国が課す60%の関税に耐えられるかは不透明だ。
■日本、トランプホットラインも構築
日本ではハリス副大統領が同盟国との協力を重視し、多国間主義的外交を志向すると分析している。ハリス副大統領はアジア太平洋地域の安全保障協力強化と中国の影響力拡大の抑制に注力すると見られている。ハリス副大統領が当選すれば、日本の安全保障利益と合致し、日米同盟の強化が期待できるというのが日本国内の評価だ。
一方、トランプ前大統領は「アメリカ・ファースト」を掲げ、日本に対して防衛費分担金の増額を要求する可能性が高い。過去のトランプ政権時代では、防衛費分担金交渉において日本は強い圧力を受け、貿易分野でも日本に不利な政策が推進された。このため、日本国内ではハリス副大統領の当選を望む空気が強まっている。
防衛相経験者で国防専門家の石破氏は就任以来、自主性の強調と対米依存度の低減を図っている。アジア版北大西洋条約機構(NATO)の創設や日米地位協定改正の推進がその代表例だ。石破氏は防衛費分担金交渉において日本の立場を強く主張し、自衛隊の役割拡大と独自の防衛能力強化を進めている。これはトランプ前大統領が再選した場合、日本との摩擦を引き起こす要因となる可能性がある。ハリス副大統領が当選すれば、日本は持続可能な日米同盟を基盤に、より積極的に中国の牽制に乗り出すと予想される。
石破内閣は柔軟な対米戦略を展開する準備を整えた。自民党は岸田内閣時代から、安倍内閣で構築された「トランプホットライン」をフル活用して備えを進めてきたとされる。また、石破氏は来年1月の米国大統領当選者就任前に訪米し、祝意を表明するか、あるいは日米首脳会談を開催する方策を模索している。