グローバルビッグテック企業メタ・プラットフォームズ(以下メタ)が推進中の人工知能(AI)データセンター建設プロジェクトが、予想外の障害に直面した。
データセンター予定地付近で希少な蜂が発見され、環境規制が課されることになったためだ。
イギリスの経済メディアであるフィナンシャル・タイムズ(FT)は5日、メタが原子力発電を利用したAI駆動型データセンターを建設するプロジェクトの実現が複雑化していると報じた。
メタCEOのマーク・ザッカーバーグは、原子力で運営されるデータセンター建設プロジェクトを推進してきた。これは、炭素排出を削減するため、無炭素エネルギーを活用してデータセンターを運営しようというメタの戦略の一環であった。
ザッカーバーグは既存の原子力発電所と契約を結び、AIデータセンターに必要な電力を原子力で賄う計画を立てていた。しかし、建設予定地付近で希少な蜂が見つかったことで、環境保護のための規制が導入されることとなった。
この計画は、AI技術が膨大なエネルギーを消費することから始まったものだ。特に、AIを活用した検索は従来のGoogle検索と比べて最大10倍ものエネルギーを消費するとされているため、安定したエネルギー供給が不可欠だった。
ザッカーバーグは、メタ全体の会議で、このプロジェクトが成立していれば、メタは原子力でAIを駆動する初のビッグテック企業になっていたはずだと強調した。
環境保護に関する規制は、ビッグテック企業にとって避けられない課題となっている。
ただし、メタを除く他のビッグテック企業は、エネルギー問題に関して比較的順調に対応している。
マイクロソフトは2023年9月、ペンシルベニア州にあるスリーマイル島原子力発電所の835MW原子炉を再稼働させるため、コンステレーション・エナジーと20年契約を締結した。これにより、マイクロソフトは安定的なエネルギー源を確保することに成功した。
アマゾンも2023年3月にペンシルベニア州のサスケハナ蒸気電力原子力発電所の近くにデータセンターを設立する計画を立て、6億5000万ドル(約998億円)を投資した。
また、GoogleもAIに関するエネルギー問題を解決するために新たな技術を導入している。Googleはアメリカのスタートアップ企業であるカイロス・パワーに小型モジュール炉(SMR)を発注し、6〜7基の小型原子炉でエネルギー供給問題の解決を図っている。