第47代アメリカ大統領に当選したドナルド・トランプ大統領当選者を「優れたスター」と称賛したテスラ最高経営責任者(CEO)イーロン・マスク氏に注目が集まっている。
11月5日の大統領選挙で勝利したトランプ大統領当選者の下、マスク氏が手にする有形無形の利益が話題となっている。マスク氏が所有する電気自動車メーカー・テスラをはじめ、宇宙企業スペースXやソーシャルメディア企業X(旧ツイッター)など、すべての企業が規制緩和の恩恵を受け、売上の増加が見込まれるとされている。
6日付「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」によると、トランプ第2期政権下のアメリカ航空宇宙局(NASA)が衛星打ち上げに使用するロケットや、地球低軌道に設置する人工衛星の数、高速道路での自動運転車の許可についての決定が、マスク氏が所有する企業の急成長に繋がると予想されている。
最も安定した売上増加が見込まれる企業はスペースXだ。
現在、スペースXはNASAの国際宇宙ステーションへの往復任務を担う唯一の民間企業であり、さらに米国防総省のロケット打ち上げや米情報機関の衛星プロジェクトも手掛けている。
そのため、今後の成長がさらに加速すると見込まれている。過去10年間でスペースXは、総額150億ドル(約2兆3132億円)以上の政府契約を締結しており、米政府が進める衛星インターネットサービス「スターリンク」の計画総額420億ドル(約6兆4770億円)においても、同社が恩恵を受ける可能性が高まっている。
さらに、トランプ第2期政権が発足すれば、マスク氏の企業群はジョー・バイデン政権の規制から解放される見通しだ。
現在、マスクの企業は、連邦取引委員会(FTC)や証券取引委員会(SEC)、司法省などから、ユーザーデータ保護(X)や自動車安全性(テスラ)に関する調査を受けており、今後も調査が予定されている。
また、マスクCEOがテスラの次世代成長エンジンとして推進する自動運転技術にも規制緩和の恩恵を受ける可能性が高い。さらに、人工知能(AI)規制の対象となる可能性があるマスク氏のAI企業「xAI」や、米食品医薬品局(FDA)の規制を受けるニューラリンクも、活動の幅が広がると予想されている。
すでにアメリカの政界では意見が分かれており、民主党はマスクが受け取る可能性のある有形無形の恩恵を違法と見なしている。米下院外交委員長のジェリー・コノリー議員(民主党・バージニア州)は、「世界で最も裕福な人物が前例のない方法で選挙に介入し、影響力を行使して利益を得ることは違法だ」と述べた。
一方、下院監督委員会委員のジェイク・ラターナー議員(共和党・カンザス州)は「利益相反が発生する場合に備えて、安全装置を設けることは可能だ」と反論した。