米大統領選でドナルド・トランプ次期大統領が圧勝し、ドルの価値が急騰している。特に対ドルの円相場は3カ月ぶりに154円台を突破した。円安は日本の輸入物価上昇の主因であり、発足当初から支持率の低迷に苦しむ石破内閣にとって重荷となっている。一方、日経平均株価は4万円に迫るなど「トランプ・ラリー」への期待感も見られる。
7日の東京外国為替市場で、対ドル円相場は154円台で取引された。トランプ氏勝利の見通しが固まった前日午後、対ドル円相場は1.99%上昇し154円台半ばまで上昇して取引を終えた。これは7月末以来約3カ月ぶりの水準だ。
円安は石破内閣の経済政策の方向性を左右する重要な課題だ。かつて円安は日本の輸出を大きく後押ししたが、大企業の工場が海外へ大量に移転した近年では、内需企業の輸入コストを急騰させ「悲しい円安」と指摘されている。特に、これは国民の生活費に直結するため、就任1カ月で30%台に急落した石破内閣の支持率をさらに押し下げる可能性がある。
当初、市場では日本が12月頃に利上げを行い円安を防ぐと予想していたが、与党であった自民党が衆議院選で大敗したことで、利上げの可能性は低くなったとの見方が強まっている。
日本の金融市場関係者は「対ドル円相場が160円台以上に上昇すれば、当局の引き締め発言や為替介入の可能性が日本に残された数少ない選択肢だ」と指摘し、「しかし、かつてほど政府の介入効果は大きくなく、一時的なものにとどまるだろう」と分析した。
さらに「物価上昇率を上回る賃上げがあれば国民の不満を抑えられるかもしれないが、現実的には難しいだろう」と付け加えた。実際、この日発表された9月の実質賃金指数は前年同月比0.1%減となり、2カ月連続で減少した。
同日午後2時、日経平均株価は前日比0.36%安の3万9,340円で推移している。前日に1,000円以上上昇したため、この日は利益確定売りが出たとみられる。日本経済新聞は「市場参加者は2016年のトランプ・ラリーで日本株が勝者だった記憶がまだ鮮明だ」とし、「当時、日経平均はトランプ氏の思いも寄らない勝利後、年末までに11%上昇した」と伝えた。
一方で、今回はトランプ・ラリーが長続きしないとの見方も出ている。2016年の円ドル相場は101〜105円程度だったうえに、トランプ政策に対する不確実性が大きいためだ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の上席研究員である大西耕平氏は「第1次トランプ政権時は円安で日本の製造業に追い風が吹いたが、現在は株価上昇には結びつかないだろう」と予測した。
石破首相は、この日「トランプ次期大統領と約5分間の電話会談を行った」とし、「できるだけ早期に会談することで一致した」と明かした。石破首相はトランプ次期大統領との会談日程について「現在調整中で、トランプ氏が直接会って話すことを期待していると述べており、私も同感だ」と語った。持論である日米地位協定の改定については「今回の電話会談ではそこまで踏み込んでいない」としつつ、「今後の日米同盟強化は予算、装備、運用、統合など多角的な観点から議論する」と強調した。