中国で観光客を誘致するため、かつて流刑にされた囚人たちの生活を体験する観光商品が発表され、物議を醸している。
8日(現地時間)、香港紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」によると、中国北東部の黒竜江省(こくりゅうこう省)は12月から鏡泊湖(きょうはく湖)観光地で「寧古塔(ニングタ)流刑体験」プログラムを開始する。
寧古塔は、かつて黒竜江省南東部にあった牡丹江市(ぼたんこう市)の最も有名な流刑地の一つだ。清朝時代(1616年~1912年)に150万人以上の囚人がここに流された。
その過程で多くの死者が発生し、生存者は役人の奴隷となることもあった。
寧古塔に流された囚人の多くは不当な迫害を受け、特に悪名高い拷問技術で苦しめられた。肉を切り取られたり、爪の下に針を刺されたりするなど、その手法は残虐であったと言われている。
観光客は、かつて囚人たちがどのように過ごしていたのかをこの寧古塔で体験できる。
囚人服を着用し、木製の刀と足枷をつけて、古代の流刑ルートを歩くことができるほか、バンジージャンプも体験できる。このアトラクションは、過去に崖から身を投げた囚人たちの絶望感を味わうことを目的としているという。
特に、現場には古代の刑務所の看守の服を着たスタッフが配置され、没入感を一層高めている。
この体験の費用や総距離についてはまだ公表されていないが、スタッフによると、旅程には冬のスポーツ活動も追加される予定だと明かした。
しかし、この商品を巡って現地のネットユーザーの間で議論が巻き起こっている。
「寧古塔で『囚人』ハイキングをしたい。ストレス解消になりそうだ」、「若者に歴史と文化を伝える良い方法だと思う」といった好意的な意見がある一方で、「寧古塔は多くの知識人や愛国者が強制的に追放された悲劇の地であり、その痛ましい歴史を軽んじる行為だ」といった批判的な反応も見受けられた。