13日のニューヨーク株式市場は、混合の動きで取引を終えた。前日、史上最高値の連続更新が止まったニューヨーク市場の主要3指数は、この日ナスダックが再び史上最高値を更新し新記録を打ち立てるかに見えたが、結局ナスダックのみが下落して取引を終えた。ダウ工業株30種平均とS&P500指数はわずかながらも上昇した。一方、ドナルド・トランプ前米大統領の当選以降、連日急騰していたテスラは前日6%を超える急落から一転、この日0.5%以上の上昇を記録し堅調な動きを見せた。トランプ・ラリーの最大の恩恵を受ける銘柄の一つである量子コンピューター・スタートアップのIonQ(アイオンキュー)は、16%以上急騰した。
まだら模様の展開 ナスダックのみ反落
前日に史上最高値の更新が止まり、トランプ・ラリーも勢いを失ったのではないかとの見方が出る中、投資家たちは2日連続で様子見姿勢を取った。ダウは前日比47.21ポイント(0.11%)高の43,958.19、S&P500は1.39ポイント(0.02%)高の5,985.38で取引を終えた。一方、ナスダックは取引中に19,358.48ポイントまで上昇し、史上最高値を更新するかに見えたが、終盤に下落し、最終的に50.66ポイント(0.26%)安の19,230.74ポイントなった。しかし、今年全体としては28%以上上昇しており、ダウ(16.6%)やS&P500(25.5%)の上昇率を上回っている。
ハイテク株、明暗分かれる テスラ反発、エヌビディア失速
最近のニューヨーク市場の動向を左右するテスラとエヌビディアは、対照的な動きを見せた。AI半導体で時価総額首位に立つエヌビディアは、前日の2.1%の上昇から一転、2.02ドル(1.36%・約303円)安の146.27ドル(約21,919円)で取引を終えた。一方で、前日に6.2%急落したテスラは反発し、1.75ドル(0.53%・約262円)高の330.24ドル(約49,486円)まで上昇した。アップルは0.89ドル(0.40%・約133円)高の225.12ドル(約33,734円)、マイクロソフト(MS)は2.17ドル(0.51%・約325円)高の415.20ドル(約62,218円)で取引を終えた。
トランプ効果でIonQ急騰 量子コンピューター株に資金流入
量子コンピューター・スタートアップのIonQは、トランプ・ラリーの最大の恩恵を受ける銘柄の一つとなっている。トランプが量子コンピューターの育成を公約に掲げたことから、大統領選後に株価が急騰している。IonQは前日比3.75ドル(16.30%・約562円)高の26.76ドル(約4,010円)で取引を終え、再び史上最高値を更新した。IonQは今年全体で116%急騰し、5日の大統領選後に限っても86.2%上昇している。5月8日の最安値6.22ドル(約932円)からは4倍以上の上昇となった。電気自動車メーカーのリビアンも久々に急騰した。フォルクスワーゲンが最大58億ドル(約8,900億円)を投資するとの報道を受け、リビアンは1.45ドル(13.71%・約217円)急騰し、12.03ドル(約1,803円)まで上昇した。しかし、今年全体では今回の急騰にもかかわらず、48.76%の下落となっている。上場廃止の危機に直面しているAIサーバー企業のスーパーマイクロコンピューター(SMCI)は、急落が続いた。SMCIは1.37ドル(6.31%・約205円)安の20.33ドル(約3,046円)で取引を終えた。今年全体では28.5%の下落となっている。SMCIは16日までにナスダック取引所に年次財務報告書を提出できない場合、上場が廃止される可能性が高い。格安航空会社のスピリット航空は60%急落した。競合するフロンティア航空との合併(M&A)交渉が失敗した後、スピリットが破産保護申請の準備を進めているとのウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道が、株価急落の引き金となった。スピリットは1.91ドル(59.32%・約286円)安の1.31ドル(約196円)まで急落した。
原油、地政学リスク下でも堅調 2日連続の上昇
国際原油価格は、底値買いの動きが続き、2日連続で上昇した。イラン強硬派であるトランプの当選による影響で、イランがイスラエルへの報復攻撃を延期したとの報道にもかかわらず、底値買いの流れは止まらなかった。国際原油価格の指標となるブレント原油の来年1月渡しは前日比0.39ドル(0.54%・約58円)高の1バレル72.28ドル(約10,831円)となった。アメリカの指標原油であるウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)の12月渡しは0.31ドル(0.46%・約46円)高の1バレル68.43ドル(約10,254円)で取引を終えた。