習近平中国国家主席は、広東省珠海市で発生した車両突入事件の負傷者の治療に全力を尽くし、加害者を厳罰に処すよう指示した。海外メディアは、中国の経済難が続く中で無差別犯罪が増加し、中国国内の公共安全に対する疑問が高まっていると報じた。
12日(現地時間)、新華社通信などによると、習主席は前日珠海市スポーツセンターで発生した車両暴走事件に言及し、「負傷者の治療に最善を尽くし、被害者とその家族を慰め、後始末をしっかり行うように」と指示した。また、「加害者を法に基づき厳しく処罰せよ」と強調し、地方政府に対して「極端な事件の発生を厳格に防ぐように」と命じた。
珠海市公安局によると、11日午後7時48分、1台の車両が珠海市スポーツセンターに突入し、運動中の市民が少なくとも35人死亡し、43人が負傷した。運転手は62歳の男性、樊(ファン)容疑者で、現在拘束されている。
樊容疑者は犯行後、自ら首や体を刺して自傷行為を行った、病院に搬送され、現在も昏睡状態にあると伝えられている。公安当局は現場分析や知人の証言を基に、樊容疑者が離婚後の財産分与に不満を持ち、犯行に及んだ可能性が高いとみている。
事件初期、中国当局はSNSに投稿された関連写真や動画を削除するなど情報統制を行ったが、事件の詳細は海外メディアを通じて広まった。特に、この事件は第15回中国国際航空宇宙博覧会(珠海エアショー)の開幕前日に発生したため、大きな注目を集めた。
海外メディアは、中国の景気低迷に伴う社会不満の高まりが無差別犯罪を引き起こす可能性を指摘している。ニューヨーク・タイムズ(NYT)は「意図的な暴動による犠牲者数の多さが、中国国内の公共安全への懸念を高めている」と報じ、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は「習主席の『加害者厳罰』指示は、経済の不確実性に対する民衆の怒りが暴力的な形で現れる可能性を中国当局が懸念している」と分析した。