ドナルド・トランプ米次期大統領が予告した不法移民の大規模追放が現実化すれば、米国の農業部門が深刻な労働力不足に陥る可能性があると懸念の声が上がっている。
12日(現地時間)、米国アイオワ州最大の農業協同組合会長のマット・カステンズ氏は、ブルームバーグ通信のインタビューで「トランプ次期大統領は移民追放計画に慎重にアプローチすべきだ」と述べ、「次期政権が書類不備の移民数百万人を国外追放すれば、農業は米国で最も打撃を受ける産業の一つになるだろう」と警告した。
カステンズ氏は、果物、ナッツ類、野菜などの特殊作物を栽培するカリフォルニア地域が最も深刻な影響を受けると指摘し、穀物や大豆が主要作物の中西部も大きな打撃を受ける地域になると予測した。
米国農業は、移民労働力に特に依存している。米国農務省によると、農場労働者のほぼ半数が不法移民だという。米国の農場で働く労働者に占める不法移民の割合は、1989~1991年には14%程度だったが、近年急増し、昨年は40%に達した。
一方、過去10年間で、農業中心の地方郡への米国人の移住は徐々に減少している。カステンズ氏は「農業部門は依然として労働集約的な産業だ」とし、「農業は本当に労働力を必要としており、労働力不足は全産業共通の課題である」と指摘した。
11日(現地時間)、就任初日に不法移民の大規模追放を実施すると公言していたトランプ次期大統領は、第1次トランプ政権で移民・税関捜査局(ICE)長官代行を務めたトム・ホーマン氏を「国境管理責任者」(通称ボーダー・ツァー)に任命した。
トランプ次期大統領が他の閣僚より先に国境管理責任者を指名したことは、彼が移民政策を最優先課題としていることを示すものだと分析されている。具体的な職務内容はまだ明らかにされていないが、厳格な国境管理と不法移民の取り締まりのため、連邦政府内の関連機関や部門を統括する役割を担うと予想される。
ホーマン氏は「公共の安全と国家安全保障への脅威が最優先事項だ」と述べ、強硬な姿勢を見せた。