18日のニューヨーク株式市場は、まちまちの展開で取引を終えた。ドナルド・トランプ時期アメリカ大統領の当選に伴う「トランプ・ラリー」が再び勢いを増した。トランプ・ラリーの恩恵を受けた代表的な銘柄であるテスラは5.6%急騰し、M7の大型テクノロジー銘柄の多くも全面高となった。M7の中で下落したのは、AI半導体メーカーのエヌビディアとアマゾンのみだった。
ダウ独り負け、S&P・ナスダックは堅調
主要3指数のうち、ダウ工業株30種平均だけが下落した。ダウは、前週末比55.39ポイント(0.13%)安の4万3,389.60で取引を終えた。一方、S&P500指数は23.00ポイント(0.39%)高の5,893.62、ナスダック総合指数は111.68ポイント(0.60%)高の1万8,791.81で終了した。
テスラ株が急騰、自動運転タクシーの夢膨らむ
トランプ・ラリーが復活する中、テスラがこの日の相場を主導した。トランプ政権が現在州ごとに異なる自動運転車の運行許可を連邦政府に一本化する方針を示したとの報道が、株価急騰の引き金となった。テスラは、来年には自動運転タクシー「サイバーキャブ」を全米で運行できるとの期待から、前週末比18.02ドル(5.62%・約2,788円)高の338.74ドル(約52,405円)で取引を終えた。アップルは3.02ドル(1.34%・約207円)高の228.02ドル(約35,276円)、マイクロソフト(MS)は0.76ドル(0.18%・約118円)高の415.76ドル(約64,320円)で終了した。アルファベットも2.81ドル(1.63%・約435円)高の175.30ドル(約27,120円)で取引を終え、メタ・プラットフォームズは0.32ドル(0.06%・約50円)高の554.40ドル(約85,768円)で引けた。一方、エヌビディアは次世代AI半導体ブラックウェルに発熱問題があるとの報道を受けて1.83ドル(1.29%・約283円)安の140.15ドル(約21,682円)で取引を終えた。20日の決算発表を控え、投資家が慎重な姿勢を取ったことも下落の要因となった。アマゾンは0.91ドル(0.45%・約141円)安の201.70ドル(約31,204円)で取引を終えた。
暗号資産買収の噂でトランプ・メディアが急上昇、17%の大幅高
トランプが率いるソーシャルメディア企業「トランプメディア」が16.7%急騰した。トランプ・メディアは4.68ドル(16.65%・約724円)高の32.78ドル(約5,071円)で取引を終えた。トランプ・メディアが暗号資産取引所バックト(BAKKT)の買収に向け「進展した交渉」を行っていると報じたファイナンシャル・タイムズ(FT)のニュースが株価急騰につながった。一方、トランプ当選後に量子コンピューター支援への期待から急騰していた量子コンピューター・スタートアップのアイオンQは13%超下落した。 アイオンQは特段の下落要因は明らかでないものの、この日3.91ドル(13.42%・約605円)安の25.23ドル(約3,903円)まで下落した。AIサーバー企業であるスーパーマイクロコンピューター(SMCI)も16%急騰した。SMCIが年次財務報告書を当日中に提出し、上場廃止を回避できるとの期待が作用した。SMCIは2.96ドル(15.93%・約458円)高の21.54ドル(約3,332円)となった。
地政学リスク再燃で原油価格が急騰、北海油田停止も追い風に
国際原油価格は供給懸念が再燃し、3%超の急騰となった。アメリカがウクライナに提供した長距離ミサイルATACMS(エイテックムス)でロシア本土を攻撃できるよう許可したとの報道と、ノルウェー北海油田の生産障害のニュースが重なり、原油価格を大幅に押し上げた。ウクライナがロシア本土を攻撃して戦争が激化することで、ロシアの石油供給に支障が生じるとの懸念が浮上した。経済制裁の影響でロシアの石油が世界市場に均等に供給されていないものの、インドや中国などの輸入に支障が生じ、原油価格にバルーン効果をもたらす可能性があるとの見方が原油価格を押し上げた。また、北海油田ではノルウェー国営「エクイノール」が停電の影響で「ヨハン・スヴェルドルップ」油田の稼働を一時停止したと報じられた。供給懸念の中、国際原油価格は軒並み急騰した。国際原油価格の指標となるブレント原油の来年1月渡しは、前週末比2.26ドル(3.18%・約350円)高の1バレル=73.30ドル(約11,340円)となった。米国産原油の指標となるWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)原油の12月渡しも、2.14ドル(3.19%・約331円)高の1バレル=69.16ドル(約10,699円)で取引を終えた。