19日のニューヨーク株式市場は、まちまちの展開となった。テクノロジー株は堅調だったが、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)やユナイテッドヘルスグループなどの大型優良株が苦戦し、ダウ工業株30種平均のみが4営業日連続で下落した。一方、エヌビディアが4.9%急騰するなど、M7ビッグテック7銘柄が軒並み上昇したことで、ナスダック総合指数とS&P500指数は2日連続で上昇した。また、上場廃止の危機に直面していたAIサーバー企業のスーパーマイクロコンピュータ(SMCI)は、新たな会計監査法人の指定を受け、株価が30%以上急騰した。
優良株安が重荷、ダウ4連安
大型優良株30銘柄で構成されるダウを除き、ナスダックとS&P500は上値を追う展開となった。ナスダックは、前日比195.66ポイント(1.04%)高の1万8,987.47、テクノロジー株の比重が高まったS&P500は23.36ポイント(0.40%)高の5,916.98で取引を終えた。一方、ダウは120.66ポイント(0.28%)安の4万3,268.94で取引を終え、反発に失敗した。エヌビディアが4.9%、ウォルマートが3%急騰したものの、ユナイテッドヘルスが2.1%、ナイキが1.3%、3Mが1.5%以上の下落を記録するなど、大型優良株30銘柄のうち18銘柄が下落したことがダウ平均の下落要因となった。
ハイテク勢一斉高、エヌビディア5%高
M7ビッグテック銘柄が軒並み上昇した。AI半導体市場で存在感を示すエヌビディアが上昇を主導し、前日比6.86ドル(4.86%・約1,061円)高の147.01ドル(約22,743円)で取引を終えた。これは、7日に記録した史上最高値の148.88ドル(約23,032円)に迫る水準となる。エヌビディアはアメリカ大統領選挙日である5日以降、8.05%の上昇を示している。また、ドナルド・トランプ次期米大統領の最側近とされるイーロン・マスク氏がCEOを務めるテスラも7.26ドル(2.14%・約1,123円)高の346.00ドル(約53,528円)となった。トランプラリーによる最大の恩恵を受ける銘柄との評価を裏付けるように、テスラの株価は5日以降、42.5%近く上昇している。時価総額首位の座をエヌビディアに譲ったアップルは0.26ドル(0.11%・約40円)高の228.28ドル(約35,316円)、マイクロソフト(MS)は2.03ドル(0.49%・約314円)高の417.79ドル(約64,634円)で引けた。クローム事業分離に関する報道があったアルファベットは、実際の分離は困難との見方から2.82ドル(1.61%・約436円)高の178.12ドル(約27,556円)を記録した。アマゾンは2.91ドル(1.44%・約450円)高の204.61ドル(約31,654円)、メタ・プラットフォームズは6.69ドル(1.21%・約1,035円)高の561.09ドル(約86,803円)で取引を終えた。
SMCI株価急反発、新監査法人で存続期待
SMCIはこの日も急騰が続いた。前夜、新たな会計監査法人としてBDO USAを指名したとの発表が、株価急騰の引き金となった。当初、遅くとも18日までに年次財務報告書を提出できなければ上場廃止となる予定だったが、新たな監査人の指名により提出期限の延長を受け、上場継続への期待が高まった。ただし、先月大手会計事務所の一つであるアーンスト・アンド・ヤング(EY)が経営陣の提出した資料の信頼性に疑問を呈して辞任し、粉飾決算の懸念が高まっていたため、新たな監査人の選定によってその懸念が完全に解消されたわけではない。SMCIは6.73ドル(31.24%・約1,041円)急騰し、28.27ドル(約4,374円)に達した。SMCIは14日に18.01ドル(約2,786円)で底を打った後、15日から3日連続で大幅に上昇し、3営業日で株価が約57%近く急騰している。
原油2日続伸、地政学リスクが下支え
国際原油価格は前日の3%超の急騰に続き、この日は一進一退の展開となった後、小幅な上昇で取引を終えた。これで連続して2日目の上昇である。プーチン大統領が、ウクライナによるロシア本土へのミサイル攻撃に対抗し、核兵器使用基準を緩和する核ドクトリン改正案に署名したことで、ウクライナ戦争の激化懸念が高まった。ただし、ノルウェー北海の「ヨハン・スヴェルドルプ」油田が修復され再稼働したとの報道が、原油価格の上昇幅を抑制した。国際原油価格の指標となるブレント原油の1月物は、前日比0.01ドル(0.01%・約2円)高の1バレル=73.31ドル(約11,341円)でほぼ横ばいとなった。また、アメリカ産原油価格の指標となるWTI原油の12月渡しも0.23ドル(0.33%・約31円)高の1バレル=69.39ドル(約10,735円)で取引を終えた。