静岡県が、来年夏から富士山を訪れる登山客1人当たり3,000円から5,000円の入山管理料の徴収を検討してることが明らかになった。観光客にも人気の富士山は、日本の信仰や文化、芸術の象徴として評価され、2013年に世界文化遺産に登録された。
19日付の読売新聞によると、静岡県は、環境保全を目的に登山者から自主的に徴収していた「富士山保全協力金」(1人1,000円)を廃止し、新たに「入山管理料」を導入する方針を固めた。また、午後4時から翌朝3時までの夜間通行を規制する内容を含む関連条例案を、来年2月の県議会に提出する計画だ。
静岡県は、隣接する山梨県が入山管理料と夜間通行規制で効果を上げた点に着目し、同様の政策導入を決めた。富士山の静岡県側には3つの登山道があり、今夏は全登山者の約40%に当たる8万9,000人が利用した。
本州中部の山梨県と静岡県にまたがる富士山は、毎年7月上旬から9月上旬までの約2カ月間のみ、頂上までの登山道が開山される。山梨県は、昨年7月から1人当たり2,000円の入山管理料を徴収し、午後4時以降の夜間通行を規制している。
山梨県は前日、富士山の麓と5合目を鉄道で結ぶ「富士山登山鉄道」計画を断念し、レールレスのゴムタイヤ式新交通システムの検討を発表した。同県は、富士山5合目まで延びる有料道路「富士スバルライン」に28キロの軌道を敷設する登山鉄道を検討していたが、地元で自然環境破壊を懸念する反対の声が強かった。
一方、新型コロナウイルスの流行が終息し、富士山登山者が増加する中、ユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議(略称:ICOMOS・イコモス)は、富士山保護のため、登山者数の管理を求めている。