民主化後初の「非常戒厳令」の宣言から、わずか6時間後に戒厳令を解除した韓国のユン大統領の辞任を求める声が、最大野党「共に民主党」を中心にあがっている。
政権政党から野党に転じることを「下野(げ・や)」というが、議院内閣制の日本と異なり、大統領制の韓国では国会で単独過半数の議席を有する「共に民主党」ではなく、ユン大統領の所属政党である「国民の力」が与党となる。
「共に民主党」を中心とした野党は、尹大統領に自ら大統領から退くよう促しているが、応じない場合、弾劾手続きも辞さないという強硬な態度をとっている。
これまで、韓国の初代大統領であるイ・スンマン氏は、1960年3月15日に行われた大統領選挙での不正選挙を発端とし、デモ隊と警官隊が衝突して200人近い死者が発生した「四月革命」により、下野を表明し、ハワイへ亡命した。
そして、第4代大統領のユン・ボソン元大統領は、後の第5~9代大統領のパク・チョンヒ少将(当時)などが中心となって起こした「5・16軍事クーデター」後、軍部勢力との対立により1962年に辞任した。
第10代大統領のチェ・ギュハ元大統領は、パク・チョンヒ元大統領暗殺後に大統領権限代行を務め、その後、正式に大統領に就任したが、在任期間はおよそ8ヶ月と韓国の歴代大統領の中で最も短い。
軍内部の勢力争いによるクーデター「12.12軍事反乱」が発生するも、後の第11、12代大統領の全斗煥少将(当時)など、新たに軍部の実権を握った勢力を掌握できず、1980年8月に辞任した。
共に民主党はユン大統領の辞任を強く要求した。
4日、院内代表のパク・チャンデ氏は「ユン大統領は即刻辞任せよ」と語気を強めた。
パク代表はこの日、ユン大統領が戒厳令の解除を発表した後、国会内で記者団に対し「戒厳令を解除しても内乱罪は免れない」と話した。
さらに「ユン大統領がもはや正常に国政を運営できないことは、国民にも明らかにされた」と指摘した。
一方、ユン大統領はこの日未明、大統領府で緊急の国民向け談話を通じて、自身が前日夜に宣言した緊急戒厳令の解除を宣言した。