尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の非常戒厳宣言により国会に進入した戒厳軍は、北朝鮮関連の事案で出動すると思い込んでいたという主張が浮上した。
国会国防委員会所属の野党「共に民主党」朴善源(パク・ソンウォン)議員は4日、「3日の不法な親衛クーデターに加担した兵士らから、戒厳軍内部の動向や任務などに関する複数の情報提供があった」と明かした。
尹大統領の非常戒厳宣言直後、国会に投入された戒厳軍は、陸軍特殊戦司令部傘下の707特殊任務団だ。彼らは前日である2日から出動待機命令を受けていた。
朴議員は「707特任団の隊員らには前日の夜8時頃、『北朝鮮関連で状況が深刻。直ちに出動の可能性あり』という内容のメッセージが伝達された」と述べた。
北朝鮮関連の事態に対処するために戒厳軍として出動すると考えていた707特任団の隊員らは、ヘリコプターで国会に降り立った後、具体的な任務を与えられず戸惑っていたというのが朴議員の主張だ。
朴議員の説明では、当時現場で707特任団の隊員らは「阻止せよ」という任務を受け、要人逮捕は軍事警察など戒厳状況下で民間人を逮捕・連行できる権限を持つ別チームが担当するなど、役割が分担されていたという。
また、陸軍特殊作戦航空団がUH-60P「ブラックホーク」など12機のヘリコプターの運航計画を前日午前に提出していた点から、非常戒厳の準備は2日から進められていたと指摘した。
一方、軍指揮部が彼らに北朝鮮関連の事案に投入されるかのように欺いたという主張も出ている。
陸軍大尉出身の軍事ユーチューバー「コリアセジン(韓国語原題訳)」(陸士67期)は「2日夜8時頃から特殊戦司令部の要員に伝達された内容で、軍首脳部が兵士らを欺いたように見える」と主張した。
彼によると、隊員らが受け取ったメッセージには「北朝鮮関連の状況が深刻。直ちに出動の可能性あり」、「指揮部ではヘリコプターに言及が多い。ヘリコプターでの任務遂行の可能性あり」、「今週か来週に実出動の可能性。即時出動できるよう準備せよ」、「国防部長官が状況発生時は他旅団に構わず707を召集すると言及」などの内容が含まれていたという。
国会によると、尹大統領の非常戒厳宣言後、国会敷地内に戒厳軍約280名が進入した。彼らは国会補佐官らと対峙していたが、本会議で非常戒厳解除要求決議案が出席190名、賛成190名で可決されると、敷地内から撤収した。