ウクライナ軍で兵士の脱走問題が深刻化し、戦局の悪化が加速している。
そのため、脱走兵に対して、初回に限っては再役すれば、刑事責任を免除し、社会保障などを再開するよう法改正を実施した。
4日(現地時間)「ロイター通信」は、2022年2月にロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、ウクライナ軍の脱走兵が、9万5,000人に達したと報じた。
特に、今年の1~10月だけで累積人数の3分の2を占める6万人もの兵士が部隊を離れている。
兵士の脱営が相次ぐ状況は、ウクライナの戦況にも悪影響を及ぼしている。
イギリスメディア「ガーディアン」によると、先月、ロシアによって奪われたウクライナ領土は1,202平方キロメートルで、ソウル市の面積の2倍に相当するという。
2023年まではロシア軍の制圧地域は465平方キロメートルにとどまっていたが、今年に入り、2,700平方キロメートルまで制圧地域を拡大し、「脱走者の急増はウクライナにとって厳しい戦況をさらに悪化させている」といわれている。
これを受け、ウクライナは初めての脱走者に限り、軍に復帰すれば刑事責任を免除し、各種の社会保障なども再開するように法改正を行い、先月28日にゼレンスキー大統領が署名した。
ある部隊はSNSを通じ、「わずか2日間で100人以上もの再役者が殺到したため、すべての申請を処理しきれなかった」と投稿した。
軍事警察のオレクサンドル・フリンチュク大佐は「先月には約6,000人の無断で脱営した兵士が復帰し、そのうち3,000人が法改正後72時間以内に戻ってきた」と明かした。他の将校も「我々の部隊には他の部隊を脱走した30人以上が加わった」と語った。
専門家らは、新兵補充が間に合わず、部隊交代が行われないことにより疲弊したり、士気が低下したりした兵士、特に、ベテラン兵士の脱走が増加したと分析している。
ウクライナ軍関係者は「兵士の平均年齢が高く、疲労の蓄積も深刻なため、士気の低下は避けられない」と指摘した。
なお、アメリカのバイデン政権はウクライナに対し、動員年齢を25歳から18歳に引き下げ、迅速に人員不足を補うよう提案したが、ウクライナ側は「不足しているのは兵士ではなく武器や弾薬だ」と動員年齢の引き下げには乗り気でないという。