ドナルド・トランプ米次期大統領の政権移行チームが、2期目の政権発足後に不法移民を第三国に追放する計画を検討していることが明らかになった。
5日(現地時間)、カリブ海の島国バハマの首相府は公式サイトに「トランプ政権移行チーム提案に関する声明」を掲載し、「不法移民を第三国へ追放するための航空便受け入れについて、トランプ政権移行チームから問い合わせがあった」と明かした。そのうえで「検討の結果、我々はこれを断固として拒否する」との立場を表明した。
バハマ首相府は、トランプ政権移行チームからの関連要請を受け入れない理由として「資源不足」を挙げた。また、バハマ国民の懸念解決が首相の優先事項であることを強調した。
フィリップ・デイヴィス首相は声明の中で、関連提案を拒否した後、米国の政権移行チームを含む他の機関との協議は行っていないと付け加えた。
これを受け、米NBC放送は、トランプ政権移行チームが米国内の不法移民を第三国に追放する案を検討していると報じた。
追放先の候補地として、バハマのほか、カリブ海の島嶼地域であるタークス・カイコス諸島やグレナダ、中米のパナマが挙げられているという。
パナマ外交当局は同日午後、声明を発表し、「トランプ政権移行チームから公式・非公式を問わず、関連提案を受けていない」と述べた。その上で、「国際法上、パナマ国民でない追放対象者を受け入れる義務はない」と強調した。
一方、カイコス諸島当局は「すべての国と同様、国境内の居住権を決定する主権を有しており、トランプ次期政権が検討している第三国への不法移民の一方的な追放は、国際法に反する行為だ」と指摘した。
NBCは「トランプ政権移行チームが移民追放の同意を得るため、各国に対してどのような経済的・外交的圧力をかけているのか、またトランプ次期大統領が来年1月の就任後にどのような圧力をかけるのかは不明」と伝えた。さらに、「これらの国が追放計画に同意したとしても、移民が追放先で合法的に滞在できるかは不透明だ」としている。
トランプ次期大統領は、1期目の2019年に中米グアテマラと「安全な第三国」協定を締結した。この協定は、ホンジュラスやエルサルバドル出身の移民に対して、グアテマラでの滞在および亡命申請を求める内容となっている。
当時、グアテマラは協定締結に難色を示していた。しかし、トランプ次期大統領が関税引き上げなどの「報復措置」を示唆したことで、最終的に協定に署名した。その結果、米国テキサス州などに滞在していた亡命申請者がグアテマラ行きの航空機に搭乗せざるを得なくなったという経緯がある。