アメリカのドナルド・トランプ次期大統領は8日、アメリカNBC放送のインタビューで、自身が選挙期間中に繰り返し主張してきた関税政策についての立場を改めて強調した。
トランプ次期大統領は、「私は関税を非常に支持している。関税は世界で最も美しい言葉だと思う」と語り、「これがアメリカを豊かにしてくれる」と力説した。
高率関税の導入による国民の負担増を懸念する声に対しては、「何も保証することはできない」としながらも、前政権時の対中国関税について触れ、「我々は数千億ドル(数十兆円)の関税収入を得たが、インフレは起きなかった」と指摘した。
また、アメリカがカナダとメキシコに補助金を支給していることを批判し、「補助金を与えるのであれば、むしろアメリカの州にしてしまった方が良い」と語った。
トランプ次期大統領は先月末、不法移民や麻薬問題などを理由に、就任当日にアメリカの3大輸入国であるメキシコ、カナダ、中国に新たな関税を課すと表明していた。これに関連して、関税発表後にカナダのジャスティン・トルドー首相との電話会談を振り返り、「彼は会話終了からわずか15秒でマー・ア・ラゴに飛んできた」と述べ、関税政策が他の問題への対応にも有効な手段であると説明した。
さらにトランプ次期大統領は「戦争やその他の問題があった際、私は関税を活用してそれらを解決してきた」とし、「関税は適切に活用することで、多様な目的に役立つ。経済的な効果だけでなく、非経済的な分野でも非常に有効な手段だ」と強調した。
このインタビューは6日、ニューヨークで行われたもので、トランプ次期大統領が大統領選勝利後、メディアのインタビューに応じたのはこれが初めてとなる。
この日、トランプ次期大統領は自身の主要公約について改めて確認する姿勢を示した。
アメリカが北大西洋条約機構(NATO)に引き続き加盟するかという質問には、「彼らが請求書を支払えば」と答える一方で、ヨーロッパが公平な対応をしていないと感じれば脱退の可能性も視野に入れていると付け加えた。
続いて、ウクライナ支援が新政権で減少する可能性について尋ねられると、「おそらく」と答え、「ロシアとの戦争は、我々よりもヨーロッパにとって重要な問題だ」と指摘した。
不法移民問題についても、これまでの方針を改めて表明した。2期目の任期中に全ての不法移民を追放する意向かという質問に「そうすべきだと思う。選択の余地はない」と述べた。また、出生市民権制度の廃止計画が継続しているかについては、「その通りだ」と明言した。
トランプ次期大統領は以前、大統領選期間中に、当選後は大統領令で出生市民権制度を廃止し、アメリカ市民権を目的とした「出産ツーリズム」を禁止する意向を表明していた。