ドナルド・トランプ米次期大統領の当選後に急騰していたアルトコイン市場は、変動性が一段と高まっている。長期保有者による利益確定の売りが相次ぎ、市場では「トランプ効果」が収束しつつあるとの見方が広がっている。この影響で相場は調整局面に入ったとされ、慎重な投資姿勢が求められる状況だ。
10日、仮想通貨情報サイト「CoinMarketCap」によると、主要なアルトコインの価格が一斉に下落した。代表的なアルトコインであるイーサリアムは、同日午後2時30分時点で24時間前比約6%安の3,700ドル（約56万3,341円）を記録し、過去1週間の上昇分をすべて失う水準に達した。
リップルは24時間前比12%以上下落し、2.18ドル（約331円）で取引された。11月初旬に1ドル（約152円）を下回っていたものの、今月3日の高値2.7ドル（約411円）と比べると大幅な下落となっている。
また、時価総額5位のソラナは24時間前比7%台下落となり、215ドル（約3万2,740円）まで値を下げた。1週間前比でも5.6%の下落を記録している。
ミームコインのドージコインは24時間前比10.7%、1週間比4.6%下落し、0.4ドル（約60円）で取引された。シバイヌコインは24時間前比15.4%、1週間前比10.8%の大幅な下落となり0.00002637ドル（約0.0039円）で推移している。
専門家が最も頻繁に指摘する懸念材料は、リップルが発行を予定していた自社ステーブルコイン「RLUSD」の発行が米国規制当局の審査の遅れにより頓挫したことだ。
当初、4日（現地時間）に発行予定だったが、リップル側が突然延期を発表した。7日には、デイビッド・シュワルツ最高技術責任者（CTO）が会議で「年内の発行は不透明」との見解を示した。
この発表を受け、専門家らはリップルの価格だけでなく、主要なアルトコイン市場全般に悪影響を及ぼしていると指摘している。コビットリサーチセンターのキム・ミンスン所長は、「最近大幅な上昇を記録していたアルトコインが調整局面に入ったようだ。特に、RLUSDの発行延期がリップルの価格下落を招き、他のアルトコインにも連鎖的な影響を与えている」との見方を示した。
市場全体の上昇モメンタムが弱まっているとの分析が浮上している。米国の仮想通貨専門メディアCoinDeskは、デジタル資産分析会社10x Researchのレポートを引用し、「取引量の減少や長期保有者による大規模な利益確定が市場のモメンタム低下を示唆している」と伝えた。
10x Research創業者であるマーカス・ティレン氏は、「全ての銘柄が同時に上昇する段階は過ぎ、投資家は慎重にポジションを見極める必要がある」と指摘している。
一方、この状況を一時的な調整期と捉える見方もある。米国における仮想通貨関連政策がまだ本格化していないためだ。ある業界関係者は「トランプ次期大統領が米国を仮想通貨の中心地とするための具体的な政策がまだ発表していない」と述べたうえで、「長期保有者の売りが一巡し、トランプ次期大統領の仮想通貨支持が鮮明になれば、本格的な上昇相場が訪れる可能性がある」と期待感を示した。