■ 2025年度国防権限法案の策定
ユン大統領弾劾の政局とトランプ2期政権を前に
安定した朝鮮半島の共同目標を支援
上下両院、拡大抑止力の強化を再確認
日米韓防衛協力の強化策も策定
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾問題とドナルド・トランプ米次期大統領の当選後の政局変動を背景に、米議会は2025年度国防権限法案(NDAA)を策定した。
10日(現地時間)、米議会は、上下両院を通じて単一の国防権限法案に「インド太平洋地域の防衛同盟・パートナーに対する議会の認識」を盛り込み、米国防長官がこの地域での防衛同盟およびパートナーシップ強化を求めたことを明らかにした。特に、中国との戦略的競争における米国の優位性を高めるため、日本や韓国との協力強化が不可欠であると明記された。
韓国については、米韓相互防衛条約に基づき、韓国に配備された約2万8,500人の米軍を維持し、相互防衛基盤を強化することが示された。また、米軍の防衛能力を活用し、拡大抑止の公約を再確認する内容も盛り込まれた。
この一連の方針は、平和で安定した朝鮮半島という共通目標を支援するためのものである。米議会は国防総省に対し、来年3月1日までに韓国への拡大抑止公約を強化するための計画提出を要求した。また、日米韓3カ国間の防衛協力促進策についても別途報告を求めている。
現状の在韓米軍維持と韓国への拡大抑止の公約は、NDAAに繰り返し盛り込まれており、トランプ次期大統領が選挙期間中に在韓米軍撤退の可能性を示唆し、防衛費分担金の増額を求めていたことから、これらの措置は重要な意味を持つと解釈されている。
NDAAは、米国の国防予算に関する規模と事業を提案する性質を持つ法律であり、2025会計年度のNDAAは来年9月まで適用される予定だ。今週中に下院を通過する見込みのNDAAは、上下両院の議決を経て、最終的に大統領の署名を受けて確定する。
一方、朝鮮半島情勢に大きな影響を与える米下院外交委員長には、退役軍人で対北朝鮮強硬派のブライアン・マスト議員(共和党・フロリダ州選出)が選出された。議会専門メディア「ザ・ヒル」によると、共和党下院運営委員会は前日の非公開会議で、次期外交委員長にマスト議員を選出した。マスト議員は、来年初めに下院全体の承認を得れば、2年間外交委員長を務めることになる。
マスト議員は2018年に、北朝鮮に拘束されていた米国人3人の解放を歓迎する声明を発表し、「北朝鮮は過去に非核化交渉を口実に時間稼ぎを行い、核兵器開発を続けてきた。約束を守らない歴史があることを踏まえ、私は議員就任直後から対北朝鮮制裁の強化を最優先課題として取り組んできた」と強調した。