韓国合同参謀本部は23日、北朝鮮の主要な動向に関する複数の写真を公開した。これらの写真には、鉄条網を設置する作業員、焚き火で体を温める兵士が、釜土で調理をする様子が記録されている。
合同参謀本部によれば、北朝鮮は軍事境界線(MDL)北側の戦術道路に約40キロメートル、北方限界線周辺の防壁上部に約10キロメートルにわたって鉄条網を設置してきた。
この作業は約8ヶ月に及び、昨年4月~5月時点で2,000人~3,000人だった作業員数が、10月には5,000人、11月~12月には平均7,000人、最大で1万人に達したという。最近では作業員数が数百人から数千人規模に減少し、今年の作業は間もなく終了すると見られている。
同部の関係者は「作業は近く完了する見通しで、再開は来年春頃、雪が解ける時期になる」と述べた。また、過去8か月間に軍事境界線(MDL)全体155マイル(約250キロメートル)のうち、25%にあたる60キロメートル区間を荒廃化させたと分析されている。
北朝鮮は、兵士や住民の脱北を防ぎ、緊急時の作戦部隊増強における車両の機動性向上や、MDL付近の監視能力を強化する目的として、新たに電気鉄条網を設置したとみられている。
特に、非武装地帯(DMZ)の北方限界線(NLL)に設置された既存の鉄条網とは別に、DMZ南側に総延長40キロメートルに及ぶ新たな電気鉄条網が設置されたことが確認された。
既存の鉄条網が単線であるのに対し、新たに設置された鉄条網は最大で3重構造となっており、第2層および第3層には通電機能が備わっている。また、北朝鮮軍が動物を用いて電気鉄条網の性能を試験する様子が、韓国軍の監視装置により捕捉された。
北朝鮮は7月20日から、前線地域の40か所以上で1日約10時間にわたり、10種類以上の騒音を放送している。特に韓国側の放送時間帯ではない深夜や早朝に、当初は全前線地域で騒音を流し、その後、西部地域に集中させた。一部の拡声器は方向転換が可能な製品に交換されている。これらの放送は単なる対抗措置にとどまらず、より攻撃的な騒音を通じて韓国内の対立を煽り、韓国側の拡声器放送を妨害しようとする意図が見られる。さらに、北朝鮮はGPS電波妨害も実施しており、最近では海州(ヘジュ)や開城(ケソン)など接触地域や海域周辺で低強度のGPS妨害を行っている。この影響により、韓国軍の艦船や民間航空機、船舶、一部の北朝鮮艦船や船舶で受信障害が発生した。
さらに、合同参謀本部は、「北朝鮮は京義線(キョンウィ線)の送電塔15基のうち11基を撤去した。DMZ内にある送電塔11基のうち、唯一残っている塔は監視装置設置用に活用される可能性があり、現在その動向を追跡している」と付け加えた。
また、ビラ散布用の風船は5月末から32回にわたり、7,000個以上が放たれたが、先月29日を最後に停止した。しかし、複数の風船放出基地では資材確保の動きが確認されており、ビラ散布用風船の放出は再開可能な状態にあるという。
合同参謀本部は、来年も北朝鮮が「対立的な二国間関係」の維持と対米重視・対韓国軽視の戦略を続け、前線地域での作業を継続することを予測している。さらに、金正恩(キム・ジョンウン)総書記が望む戦略環境が整うまで、ビラ散布用風船、騒音放送、GPS妨害などのグレーゾーン攻撃が継続する可能性が高いと予想される。
一方、来年もロシアへの支援に注力せざるを得ない状況の中で、韓国側との軍事的緊張や衝突を引き起こすには負担が大きいと分析されている。しかし、過去の事例を考慮すると、冬季訓練と連携した韓国に対する武力示威訓練や、ロシアを後ろ盾にした対米交渉力向上を狙った大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射や核実験など、さまざまな戦略的挑発が高い可能性があると指摘されており、韓米の情報協力と備えの体制確立が急務であると付け加えた。