「韓国版スターウォーズ」と呼ばれるレーザー防空システム「天光(チョングァン)」がソウル龍山(ヨンサン)の大統領府近くに配備された。天光は早ければ来月にも実戦配備され、大統領府付近に接近する北朝鮮の無人機などを迎撃する任務に当たる予定だ。
25日、軍関係者によると、龍山の「合同戦争遂行模擬本部(JWSC)」ビルの屋上に、最近天光が設置されたという。合同参謀本部傘下のJWSCは、龍山の国防部敷地内に位置する。天光が設置されたJWSCビルは、大統領府から約500m離れており、両ビルの間には国防部と合同参謀本部が共用する建物がある。
2022年12月、北朝鮮が飛ばした複数の小型無人機が首都の上空に侵入し、そのうち1機が大統領府周辺の飛行禁止区域(P-73)を一時的に侵犯したことを受け、軍当局はレーザー防空システムの導入を決定した。
レーザー防空システムは光ファイバーから生成された高出力レーザーを標的に直接照射して無力化する、ハードキル型の兵器システムだ。国防科学研究所(ADD)が2019年8月から871億ウォン(約92億6,822万円)を投じ、昨年4月にシステム開発を完了した。1回の発射コストが約2,000ウォン(約212円)と極めて低コストなのが特徴だ。2023年4月には実戦配備に適合と判断された。標的位置確認装置で目標を捕捉した後、発射装置で追跡・照準し、レーザーを照射して北朝鮮の小型無人機などを撃墜する仕組みだ。
出力20kW級と推定される天光は地上固定式で、主にマルチコプター型ドローンや小型無人機の迎撃を目的としている。システム開発および運用試験評価では、約3km離れた小型無人機とマルチコプターを全て撃墜し、100%の命中率を記録した。P-73は国防部庁舎を中心に、半径3.7kmの範囲に設定されている。
一般的なコンテナサイズの天光は、射撃指揮官と発射制御員、連動制御員の3名で運用される。大統領府に配備された天光は、陸軍首都防衛司令部の防空部隊が運用する予定だ。
天光の特徴は、目に見えず音もしないこと、弾薬が不要で数秒以内に探知から照準まで可能なこと、即座に交戦態勢に入れることなどが挙げられる。ただし、雨や雪、霧や雲などの悪天候下では性能が低下する。また、山や建物の陰にいる標的に対して曲射砲撃はできない。
軍当局は龍山大統領府近くに配備した天光を、北朝鮮の無人機挑発などへの対応手段として活用する計画だ。北朝鮮が飛ばす風船の中身は不明なため、天光で風船を撃墜することはないとされている。天光は大統領府だけでなく、他の国家重要施設にも配備される見通しだ。