尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の戒厳令宣言と弾劾をめぐる政治的混乱の中、外交当局は外交の空白を埋めるため、米国や中国など主要国との積極的な対話を続けている。この過程で注目すべき部分は、韓国を信頼する理由としてユン・ソンニョル政権ではなく、国民主導の民主主義が挙げられている点だ。
25日、まず米国ではユン大統領の弾劾訴追後、フィリップ・ゴールドバーグ駐韓米国大使を皮切りに、米政界から「韓国民主主義の回復力」という表現を用いて信頼が示されたと韓国外交省に伝えた。
先立って、米国のアントニー・ブリンケン国務長官は21日、韓国の趙兌烈(チョ・テヨル)外相との電話会談で、韓悳洙(ハン・ドクス)大統領権限代行体制への信頼を示すとともに、「米国は韓国の民主主義とその回復力を高く評価し、信頼している」と述べた。
韓国外交省の金烘均(キム・ホンギュン)第一次官が訪米し行われた日米外交次官会談でも、米国のカート・キャンベル国務副長官は同様に「韓国大統領代行のリーダーシップ」と「韓国民主主義の回復力」に言及し、「全面的に信頼している」と語った。
韓国外交省当局者はこれについて、「大統領弾劾訴追の案可決後も日米関係が正常化され、安定的に推進されるという趣旨だ」と補足した。つまり、韓国大統領代行体制そのものよりも、憲法と法律に基づいて大統領弾劾手続きと国政運営の安定化が進められる韓国の民主主義制度を信頼しているということだ。
中国も同様の反応を示した。チョ外相は前日、王毅(ワン・イー)中国共産党中央政治局委員兼外相と電話会談を行った。戒厳令発言後初の中韓高官交流だったが、韓国外交省は国内情勢への言及を避け、中韓関係に関する内容のみを公表した。
しかし、ワン外相は「最近の韓国の国内情勢の変化に注目しており、中国は内政不干渉の原則を堅持している」とした上で、「韓国国民が国内問題を適切に処理する知恵と能力を持っていると信じている」と述べたと中国外交省は明かした。
韓国政府や韓大統領代行ではなく「韓国国民」に直接言及することで、米国以上に直接的に国民主導の民主主義への期待を示したといえる。