最近の暗号資産(仮想通貨・コイン)市場の強気相場において、投資家の保有期間に応じた売却傾向が明確に区別されることが判明した。
26日、オンチェーン分析企業「クリプトクアント」(CryptoQuant)の寄稿者ヨンセデント(Yonsei_dent)は、「ビットコイン10万ドル時代に、誰が利益を得たのか」と題した記事で、投資家グループ別の売却活動を分析し、興味深いデータを提示した。
分析によると、6~12カ月間ビットコインを保有していた中期保有者グループが、最近の反発局面で最も活発に売却を行ったことが分かった。ヨンセデントは、これらの投資家の大半が、2024年初頭のビットコイン現物ETF発売時にビットコインを購入した者たちだと指摘した。また、この売却の動きがビットコイン価格に下落圧力をかけた可能性があると分析した。ただし、強い市場需要がこうした売却圧力を相殺し、ビットコインの価格は9万~10万ドル(約1,418万~1,576万円)の範囲で維持されたと付け加えた。
一方、1年以上ビットコインを保有している長期保有者グループは、売却活動が比較的少なかったことが判明した。ヨンセデントは、長期保有者らがビットコインの更なる上昇可能性を期待して売却を控えたと分析した。彼は長期保有者の取引傾向を示す「バイナリーCDD」(Binary CDD)指標を引用し、11月に比べて12月には長期保有ビットコインの売却量が減少したことを強調した。
今回の分析で注目すべき点は、「SOAB(Spent Output Age Bands)」などのオンチェーン指標を活用し、投資家の行動を具体的に分類したことだ。SOAB指標は、保有期間に応じてビットコインがどれだけ売却されたかを示すデータで、これにより中期保有者の売却活動が、現在の市場にどれほど大きな影響を与えたかが確認できた。
このようなパターンは過去にも類似の事例がある。2021年4月にビットコインが6万ドル(約945万円)を突破した際も、中期保有者グループの売り圧力が市場に影響を与えた。当時の分析によると、6~12カ月の保有者グループが大幅な売却圧力を示し、価格調整の要因となった。しかし、長期保有者は売却に消極的で、その後の価格反発に伴って利益を最大化した点で今回の事例と類似している。
1年以上の保有者の売却活動が少なかった点は、ビットコイン市場で繰り返し観察される長期保有者の特徴として知られている。長期保有者は価格急騰時にも売却に慎重な姿勢を示し、市場の安定した基盤形成に貢献しているとの評価を受けている。