インドの経済改革を主導したマンモハン・シン前インド首相が、92歳で逝去した。
「タイムズ・オブ・インディア」によると、全インド医学研究所(AIIMS)は26日(現地時間)、シン元首相が高齢者特有の疾患で治療を受けていたが、死亡したと発表した。
AIIMSは声明で「92歳のマンモハン・シン博士の逝去をお知らせします」とし、「彼は高齢者特有の疾患で治療を受けており、26日に自宅で突然意識を失った」と伝えた。シン前首相は自宅で救急処置を受けた後、午後8時6分頃ニューデリーのAIIMS救急救命室に搬送されたが、午後9時51分に息を引き取ったとAIIMSは説明した。
ナレンドラ・モディ首相の前任者であるシン前首相は、2004年から2014年まで2期にわたり首相を務めた。1932年、当時イギリス領だったパキスタン・パンジャブ州の貧しい家庭に生まれたシン前首相は、パンジャブ大学で経済学を専攻。その後、イギリスのケンブリッジ大学とオックスフォード大学で学び、経済学博士号を取得した。
1971年、インド商務省の経済顧問として政界入りし、その後財務省次官やインド準備銀行(RBI)総裁を歴任した。1991年、財務大臣在任中には、当時社会主義体制だったインド経済を市場経済体制へ転換させ、前例のない経済成長を牽引した。2004年、シン氏の首相就任により、インド史上初のシク教徒の首相が誕生した。
彼の就任後、インドは約9%の経済成長率を記録。2006年には、エネルギー需要の増加に対応するため、原子力施設を整備し、米国との核協力協定締結という外交的成果を挙げた。しかし、任期後半には所属政党である国民会議派(INC)内部で汚職スキャンダルが発覚し、清廉なイメージが損なわれた。その後、2014年に現職のモディ首相が所属するインド人民党(BJP)に政権を譲ることとなった。
モディ首相はこの日、X(旧ツイッター)を通じて「インドは最も優れた指導者の1人であるマンモハン・シン博士の死を悼む」と追悼の意を表した。モディ首相は「彼は低い身分から、尊敬される経済学者へと成長した」とし、「人々の生活向上のために幅広い努力を惜しまなかった」と評価した。さらに「私が首相で、私がグジャラート州首相だった頃、定期的に交流があった」とし、「我々は統治に関する様々なテーマについて議論した。彼の知恵と謙虚さは常に印象的だった」と記した。
インド政府は、シン前首相の死を悼み、7日間の国喪期間を宣言した。