イスラエル軍がガザ地区北部で唯一稼働している病院を急襲し、院長を含む医療スタッフなど240人以上を「テロリスト」として拘束した。
28日(現地時間)「ロイター通信」によると、ガザの保健当局はイスラエルの急襲により拘束されたカマル・アドワン病院のサフィヤ院長の安否について懸念を表明した。
27日にイスラエル軍が病院を占拠した際、サフィヤ院長は暴行を受け、そのまま拘束されたという。
イスラエル軍は、カマル・アドワン病院はパレスチナのイスラム組織「ハマス」のテロ拠点として使用されていると断定し、院長をハマスの工作員とみなし、拘束したことを認めた。
さらに、今回拘束した者たちはハマスや武装組織「イスラム聖戦」のテロリストの疑いがあると主張している。
世界保健機関によると、病院に残っていた重体患者を含む、患者と医療スタッフは近くにある別の病院に移され、院内には誰も残っていなかったという。
ただし、移送先の病院はすでに破壊され、稼働できない状態のため、医療従事者はそこで患者と合流することもできず、残りは他の病院に移送されたという話もあるが、詳細は不明となっている。
一方、ハマスはイスラエルの主張を否定し、病院に戦闘員や工作員はいなかったと反論した。
また、国連や関連国際機関に対して即時介入を要請し、現状を確認するために国際監視団を派遣するよう求めた。
そして、現在稼働中の病院と医療施設を保護し、物資の供給が途絶えぬよう訴えた。
ハマスは240人の拘束については言及しなかったが、ガザ地区内の医療施設が軍事目的に利用されているというイスラエルの主張を検証するため、国連監視団の受け入れを提案した。
世界保健機関は、今回の病院襲撃によりガザ地区北部で稼働していた最後の医療施設が失われたとし、「衝撃を受けている」と声明を発表した。
さらに「ガザ北部における80日以上にわたる医療システムの組織的な破壊と包囲は、この地区に残る7万5,000人のパレスチナ人の命を危険にさらしている」と批判した。
また、28日、ガザの保健当局はイスラエルのガザ地区全域への攻撃でパレスチナ人18人が死亡し、そのうち少なくとも9人がガザ中心部のマガジ難民キャンプで亡くなったと発表した。
この日の夜、イスラエル軍はガザ地区北部のベイト・ハヌーン地域をターゲットにした作戦を開始したと明らかにした。
「この地域に残る民間人が安全に移動できるよう支援している」と説明し、同地域からロケットが発射されたと主張し、住民に南部地区への移動を命じた。