28日(現地時間)、テスラのイーロン・マスクCEOがドイツ総選挙を控え、「移民受け入れ制限」や「ドイツのアイデンティティ強調」などを主要政策に掲げる極右政党を支持する意向を示し、論争を引き起こしている。
AP通信などによると、マスク氏はこの日、ドイツの週刊誌「ヴェルト・アム・ゾンターク」に、右翼ポピュリズム政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を支持する内容の寄稿文を発表した。
マスク氏は寄稿文で「AfDは極右と描写されるが、多くのドイツ国民が共感できる政治的現実を扱う政党だ」と述べ、「AfDを極右政党と分類するのは明らかに誤りだ」と主張した。
2013年に設立されたAfDは、欧州連合(EU)離脱や移民受け入れ制限、ドイツ文化とアイデンティティの保護を主要政策とする政党である。一部の党指導者が人種差別的な発言をして社会的論争を引き起こしたこともある。しかし、来年2月23日に予定されている総選挙を前に支持率が19%に達するなど、勢いを増している。
マスク氏はAfDの政策に積極的な支持を表明した。彼は「AfDはドイツ文化と安全を最優先とする制御された移民政策を支持している」とし、「これは外国人嫌悪ではなく、グローバル化の過程でドイツがアイデンティティを失わないためのものだ」と述べた。さらに、「国家が統一を維持するためには、核心的な価値観と文化的遺産を守らなければならない」と主張した。
先週、マスク氏はX(旧Twitter)にも「AfDだけがドイツを救うことができる」という投稿を行ったことがある。過去にもドイツの官僚主義を批判するなど、その発言が注目されてきた。
一方で、ドイツ国内ではこのようなマスク氏の行動について、外部者の干渉として不適切だという批判の声も少なくない。
マスク氏の寄稿を掲載した週刊誌「ヴェルト・アム・ゾンターク」は、寄稿文の末尾に編集長のコラムを添え、「ドイツ社会に対するマスク氏の診断は正しい部分もあるかもしれないが、『AfDだけがドイツを救う』という処方箋は完全に誤っている」という立場を表明した。