中国の金融業界が不動産開発の停滞など経済の低迷に直面し、大規模なリストラが進んでいる。
2日、中国国家統計局によると、過去5年間で金融業の従事者数は1,235万人で、2018年と比べて580万人、32%も減少した。一方、第3次産業全体の従事者数は同期間で2億6,400万人と25.6%増加したものの、金融業では不動産市場の不振に伴い、資金供給を担う金融サービス分野が縮小し、大規模なリストラが行われた。
特に金融分野の中でも保険業界の縮小が著しく、従事者数は32%減少した。収入が減少した会社員や自営業者が保険支出を削減したほか、多くの外資系金融企業が中国市場から撤退したことも影響している。
さらに、中国政府の「高額報酬制限政策」の導入も金融業従事者の減少を加速させた。高額報酬を求めて他の産業へと移るエリート従事者が増えたためだとされている。
金融業従事者の大量退職や減少は「金融業の中年失業」と呼ばれ、景気低迷を象徴する事例となっている。
一方、不動産開発分野の従事者数も5年間で27%減少し、271万人となった。また、建設業の従事者数も11.9%減少した。一方で、不動産管理業務の従事者数は34%、不動産仲介業者は18%増加した。
1日、工商時報など中国の現地メディアはこの状況について、「不動産開発会社が次々と倒産し、中小都市でも住宅供給が需要を大きく上回る状況で、新築住宅を建設する需要が減少している。これに伴い、金融業や開発業の停滞は当然の結果だ」と分析した。
メディアによれば、金融業や不動産開発業で職を失った多くの人々が公務員試験の準備に取り組むか、自営業に転じて生計を立てようとしているという。