北朝鮮当局は年末の全員会議を経て、最前線軍団指揮部に南北軍事境界線付近の地域の防御施設強化を含む軍事指示を発令したことが、3日に明らかになった。
北朝鮮専門メディア「デイリーNK」によると、匿名を希望する北朝鮮軍内部の情報筋は、「昨年12月31日午前8時、総参謀部から第1軍団指揮部に電信命令が下された」と述べた。同命令には、政治活動の強化、軍事力の現代化、南部国境防御施設の強化、機動・野外訓練の拡大、装備点検完了、地方建設支援などが盛り込まれていたという。
今回の指示は、北朝鮮労働党中央委員会第8期第11回全員会議で示された方針に基づき、人民軍の思想的結束強化と軍事力の現代化を主要目標としている。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記はこの会議で、「人民軍を党の指導に無限に忠実な革命的党軍、思想と技術に強い軍隊として徹底的に準備させる」と強調した。
この指示は、2024年末の労働党全員会議で掲げられた方針に沿い、2025年の初頭措置として忠誠心の向上と戦闘力強化が狙いとみられる。
また、「全員会議後の最初の軍事政治活動に関する命令を受けた第1軍団は、総参謀部の指示に従い政治思想的団結と南部国境防御態勢の強化を最優先課題とし、新年早々から訓練強度を高めるための作戦会議を進めている」という。命令書では、第1軍団が「祖国の南部国境である前哨線を守る最精鋭部隊」と位置づけられ、政治思想的結束の強化が重要課題として指示された。
一方、総参謀部は第1軍団参謀部に対し、労働党第8期第11回全員会議で人民軍に指示された綱領的課題についての学習と政治教育を実施し、これを通じて忠誠心を高め、軍事規律を確立することを強調した。
総参謀部の命令に従い、第1軍団傘下の部隊は新年から、南北境界地域の防御施設強化を含む実戦訓練を実施する計画だ。情報筋によると、第1軍団は南部国境(南北軍事境界線付近)の最前線塹壕に配置されている部隊として、戦闘力の維持と軍事力向上を目的に、今月第2週に部隊機動訓練と野外訓練を拡大するよう命じられたという。また、軍団の中核戦力である機械化部隊と機動砲兵部隊の装備点検も、1月第1週までに完了するよう指示が下されたという。
さらに、総参謀部は第1軍団指揮部に対し、江原道(カンウォン道)軍事委員会と連携し、今月の軍需物資供給を拡大するよう求めるとともに、訓練に投入された兵力以外にも、工兵技術大隊を道の地方建設に積極的に動員するよう指示した。
情報筋は、「今回の命令書に基づき、第1軍団は韓国の侵略企図を粉砕するため、徹底的な準備態勢の強化を命じられた」と述べ、「鉄条網の強化、陣地と観測所の拡充など要塞化作業が具体的に指示された」と付け加えた。