アメリカのバイデン大統領は退任前に80億ドル(約1兆2,600億円)規模のイスラエルへの武器売却案を明らかにした。
4日(現地時間)「ウォール・ストリート・ジャーナル」などの海外メディアによると、バイデン政権は3日、議会に武器売却案を通知した。
イスラエルに戦闘機や攻撃ヘリコプター用の弾薬や砲弾など80億ドル相当の武器を売却するという。
今回イスラエルに売却される武器には、昨春ガザで多くの犠牲者を生んだことで弾薬輸送が停止されたものも含まれている。
無誘導爆弾「MK-84」は2023年10月以降、イスラエルが大量投下し、密集地域での使用では犠牲者を大量に生み出し、「無差別攻撃」にアメリカが関わっているとの非難につながった。
そのほか、中距離空対空ミサイル(AMRAAM)やヘルファイア空対地ミサイルなども売却される予定だという。
停戦交渉中にもかかわらずイスラエルはガザ地区への空爆を続けている。
ガザ保健当局によると4日にも北部などで空爆があり、59人が死亡し、300人近い負傷者が発生したという。
このような状況下でアメリカは民間人の犠牲をかえりみず、大規模な武器売却を決定した。
3日、交渉仲介国であるカタールのドーハで、イスラエルとパレスチナのイスラム組織「ハマス」の停戦協議は再開されたが、勢力の弱体化が進むハマスに対し、イスラエルは攻撃の手を緩めずにいる。
イスラエルはなおも戦線を拡大し続けている。中東各地でイランが支援する武装組織のネットワーク「抵抗の枢軸」の1つであるレバノンに拠点を置く親イラン武装組織「ヒズボラ」は、ほぼ壊滅状態に追い込まれ、現在、残存勢力の掃討作戦を続けている。
イスラエルは抵抗枢軸の1つであるイエメンの「フーシ派」に対する攻撃も強化している。
一方、イスラエルはイランの核兵器開発にも注目している。
バイデン政権に続き、ドナルド・トランプ次期大統領も、親イスラエル政策を続けると見られていることから、イスラエルがアメリカの武器を用いてイランの核施設を空爆する可能性も考えられる。