「最大の難関」データ伝送遅延を解決
CCTV「未来の外傷治療システムに新たな可能性」
中国が世界で初めて衛星を利用した遠隔手術に成功したと報じた。
先月3日、香港の「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」は中国国営CCTVの報道を引用し、中国人民解放軍総医院の医師らがチベットのラサ、雲南省大理、海南省三亜から遠隔で5件の手術を成功裏に終えたと伝えた。
医師らは地球上空3万6,000kmに位置する広帯域通信衛星APSTAR-6Dを利用し、自主開発したロボットを操作して北京の患者らを手術した。肝臓、胆嚢、膵臓の手術を受けた患者らは全員回復し、翌日退院したという。
CCTVは「手術中の精密な動きに関するデータが約15万kmに及ぶ往復距離を移動した。中国はもちろんのこと海外でも初の成果だ」と述べ、「医療と情報技術の融合に重要な突破口を開き、未来の外傷治療システムに新たな可能性をもたらした」と評価した。さらに「中国産の衛星技術とロボットシステムを用いて複雑な長距離手術を実施し、その実現可能性、安全性、有効性を実証した」と付け加えた。
中国が2020年に打ち上げたAPSTAR-6Dは、重量5,500kg、毎秒50ギガビット(Gb)の伝送容量を持つ通信衛星で、予想寿命は15年だ。
この衛星は静止軌道からアジア太平洋地域全域と地球表面の約3分の1をカバーできるが、これまでデータ伝送遅延が遠隔手術にとって最大の課題だった。
医療チームは病院と衛星専門家で構成されるチームを編成し、データ伝送遅延を衛星通信の物理的限界に近いレベルまで削減することに成功したという。
SCMPもこの手術の成功により「24時間以内に世界中どこでも外科的介入が可能になる見込み」とし、特に「激しい戦闘状況下で負傷者を治療するにあたり潜在的に貢献しうる革新的技術だ」と伝えた。