6日(現地時刻)、北朝鮮が中距離弾道ミサイルを日本海に向けて発射した。今年初の弾道ミサイル発射で、米国のドナルド・トランプ次期大統領の就任2週間前に挑発を行い、自国の存在感を示した。
韓国軍の合同参謀本部によると、この日の正午頃、北朝鮮の首都・平壌近郊から日本海に向けて発射された中距離弾道ミサイル(IRBM)と推定される飛翔体1発を探知した。北朝鮮が発射したミサイルは「火星-16型」と呼ばれる極超音速中距離弾道ミサイル(IRBM)の可能性が高い。合同参謀本部は昨年12月23日、「北朝鮮が年末の労働党全員会議前後に極超音速IRBMを発射する可能性がある」と予測していた。
通常、IRBMの射程は3,000~5,000kmで、北朝鮮から南東に約3,000km離れた米領グアムへの攻撃が可能だ。北朝鮮は昨年1月と4月、平壌近郊で固体燃料推進方式を採用した極超音速IRBMを試験発射し「成功裏に終了」と自賛していた。
キム・ジョンウン朝鮮労働党総書記は昨年10月、極超音速ミサイルを配備した戦略ミサイル基地を視察し、同基地を初めて公開した。北朝鮮は同年11月の武器展示会でも極超音速ミサイルを展示するなど、関連技術の完成を重視しつつ、対外的に軍事力の増強をアピールしていた。
北朝鮮による弾道ミサイル発射は今年初めてで、昨年11月5日の短距離弾道ミサイル(SRBM)発射以来、約2カ月ぶりとなる。北朝鮮は昨年11月6日の米大統領選でトランプ次期大統領が勝利した後、弾道ミサイルの挑発を中断していた。
今回のミサイル発射は、トランプ次期大統領就任の2週間前に実施された。第2期トランプ政権の「レッドライン」を試すものだとの分析も出ている。トランプ次期大統領は前政権時、北朝鮮のSRBM発射など、米本土を直接脅かさない軍事挑発には、比較的に寛容な姿勢を示していた。また、この日の発射は、韓国のチョ・テヨル外相と米国のブリンケン国務長官がソウルで米韓外相会談を開始した直後に行われたため、バイデン政権の対北朝鮮強硬策への不満表明とも考えられる。弾劾問題で揺れる韓国にさらなる混乱をもたらし、韓国軍の警戒態勢を確認する狙いもあったとの見方もある。
合同参謀本部は「軍は追加発射に備え監視警戒を強化しており、米国・日本と北朝鮮の弾道ミサイル関連情報を緊密に共有し、万全の態勢を維持している」と発表した。日本政府も北朝鮮が弾道ミサイルとみられる飛翔体を発射したとし、すでに落下したとみられると発表した。