7日(現地時間)のニューヨーク証券取引所は全面安となった。
米経済指標の好調がインフレーション(物価上昇)懸念を呼び起こし、国債利回りが急騰したことで投資家の売り圧力が強まった。
指標となる10年米国債利回りは前日比0.073ポイント急騰の4.689%に達し、一部ではドナルド・トランプ第2期政権下で平均5%を上回るとの悲観的な見方も出ている。
前日の株式相場の上昇を牽引したテスラやエヌビディアなどM7ビッグテック銘柄が、この日は一転して下落の主因となった。
3営業日ぶりの下落
市場動向を最もよく反映するS&P500指数とハイテク株主体のナスダック総合指数は3日以来の下落。下げ幅も相対的に大きく、3営業日ぶりの下落となった。
S&P500指数は66.35ポイント(1.11%)安の5,909.03、ナスダック総合指数は375.30ポイント(1.89%)安の1万9,489.68で取引を終えた。
前日に主要3指数中で唯一小幅安で終えたダウ工業株30種平均は、序盤の反発後に下落に転じた。
ダウは178.20ポイント(0.42%)安の4万2,528.36で取引を終え、2日連続の下落となった。
「ウォール街の恐怖指数」と呼ばれるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)は11%超の急騰となり、VIXは1.78ポイント(11.10%)上昇し17.82となった。
エヌビディア、6%急落
エヌビディアやテスラを含むM7ビッグテック銘柄は利益確定売りに押され大幅安となった。
エヌビディアは9.29ドル(6.22%/約1,467円)安の140.14ドル(約2万2,144円)、テスラは16.69ドル(4.09%/約2,637円)安の394.36ドル(約6万2,314円)で取引を終えた。
テスラの目標株価引き上げが相次ぎ、エヌビディアも今年の有望銘柄として挙げられるなどアナリストの楽観的な見方が強まっているが、短期的な売り圧力を回避できなかった。
アップルは2.79ドル(1.14%/約440円)安の242.21ドル(約3万8,272円)、マイクロソフト(MS)は5.48ドル(1.28%/約866円)安の422.37ドル(約6万6,749円)で引けた。
アルファベットは1.38ドル(0.70%/約218円)安の195.49ドル(約3万894円)、アマゾンは5.50ドル(2.42%/約869円)安の222.11ドル(約3万5,098円)で下落した。
メタ・プラットフォームズは12.31ドル(1.95%/約1,945円)安の617.89ドル(約9万7,642円)で取引を終えた。
鳥インフルエンザ
トランプ第2期政権下での最大の恩恵株として期待されるソフトウェア企業のパランティア・テクノロジーズも急落した。
人工知能(AI)依存度の高いパランティアに対する悲観的な見方が出たためだ。
モルガン・スタンレーがパランティアを分析対象に加える予定で、初の投資推奨が「アンダーウェイト(比率引き下げ)」となり、目標株価も現在より20%以上低い60ドル(約9,481円)に設定されるとの予想から、株価の下落に拍車がかかった。
前日5%急落したパランティアは、この日さらに5.93ドル(7.81%/約937円)安の69.99ドル(約1万1,060円)まで下落した。
一方、鳥インフルエンザワクチン開発企業のモデルナは11%超の急騰となった。
米国で鳥インフルエンザによる初の死者が出たことを受け、現在鳥インフルエンザワクチンを開発中のモデルナに投資家が殺到した。
モデルナは4.96ドル(11.65%/約783円)高の47.53ドル(約7,510円)まで上昇した。
国際原油価格、1日の下落から反発
国際原油価格は1日で反発に転じた。前日は6営業日ぶりに上昇が止まったが、この日は再び上昇に転じた。
中国の大規模な景気刺激策への期待が原油価格の上昇を後押しする中、米国の寒波による暖房用燃料需要の急増観測も原油価格を押し上げた。
国際指標原油のブレント原油の3月先物は0.75ドル(0.98%/約118円)高の1バレル=77.05ドル(約1万2,175円)となった。
米国産原油指標のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)2月先物は前日比0.69ドル(0.94%/約109円)高の1バレル=74.25ドル(約1万1,734円)で取引を終えた。
WTIは年初から3.53%上昇し、昨年10月11日以来約3か月ぶりの高値水準となった。