中国の景気回復に明るい兆しが見られぬ中、中国当局が発表している経済成長率の数値の正確性に問題を提起した中国の著名エコノミストが、習近平国家主席の指示により処分されたと報じられた。
8日「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」は、情報筋の話として、習主席が国営企業「国投証券(SDIC)」のチーフエコノミスト高善文氏に対して処分を命じたと伝えた。
先月、ワシントンDCで開催されたフォーラムの中で、高氏は「中国政府の公式発表では直近2、3年の経済成長率は5%近くだとされているが、実際には2%程度だろう」と発言し、中国当局が発表する数値に疑問を投げかけた。
この発言に習主席は激怒し、当局に調査と処分を命じ、その結果、高氏は一定期間、公の場での発言を禁止されているという。
WSJは「習主席のこの対応は中国が景気停滞に関し、いかに敏感になっているかを如実に示している」と指摘した。
中国の公式発表の数値に関する信頼性に疑問があがるのは今回が初めてではない。
昨年もバークレイズ証券や野村証券などが顧客向けの伝達事項として、中国の各種統計の数値は一貫性が欠如していると指摘していた。
習主席主導の「言論統制」が景気回復の妨げになっているとの批判も出ている。
WSJは「今年の中国株式市場は売り優勢で幕を開けた」とし、「中国当局の対応は投資家に経済問題解決への道筋を確信させるにはいたっていない」と分析した。