ロシア当局は10日(現地時間)、黒海で発生したタンカー事故による新たな油流出が確認されたと発表した。
タス通信によると、黒海での油流出処理を担当するロシア・クラスノダール運営本部は、1か月前にケルチ海峡で座礁したタンカー「ボルゴネフト239」の船尾から石油製品が流出し始めたのを確認したという。さらに、ロシアに併合されたクリミア半島の緊急当局は、同半島の4つの地域およびクリミア大橋下のトゥーズラ島で新たに7件の汚染が確認されたと報告しており、汚染地域の総延長は約14kmに達したと伝えた。
ロイター通信は、ロシア交通省の発表として、ケルチ海峡で座礁したタンカー「ボルゴネフト239」から流出した油が約2,800平方メートル(テニスコート約10面分)の範囲に広がっていることを報じた。
先月15日、ロシア当局は黒海とアゾフ海を結ぶケルチ海峡で発生したタンカーによる油流出事故の影響を最小限に抑えるため、引き続き作業を続けていると報告した。暴風雨の影響で、タンカー「ボルゴネフト212」が半壊し沈没し、「ボルゴネフト239」が座礁した。この事故により、約2,400トンの石油製品が海に流出し、ロシア南部およびクリミア半島の海岸が汚染された。また、海洋生物や鳥類の大量死など、甚大な環境被害が発生した。
ウラジーミル・プーチン大統領は前日の政府会議で、今回の事故を近年ロシアで発生した最も深刻な環境問題の一つと位置づけ、現在の対応が依然として不十分であると指摘した。一方、AFP通信は、ウクライナやトルコなど黒海周辺国がロシアの油流出事故に対する対応が不適切だと批判していると報じた。