ニューヨーク株式取引所は15日(現地時間)、全面高となった。
ハイテク株主体のナスダック指数は、7日以来の取引日ベースで6営業日ぶりに下落から脱し、急反発に転じた。
ダウ工業株30種平均とS&P500指数は、10日以来3営業日連続で上昇した。
米国の12月消費者物価指数(CPI)コア指数が市場予想を下回り、インフレーション(物価上昇)再燃への懸念が和らいだ。投資家は安心感から株式を大量に買い込んだ。
M7ビッグテック銘柄は、アップルを除き全て2%超の上昇を記録し、テスラは8%急騰した。
量子コンピューター関連銘柄も2日連続で急騰した。
予想を上回る決算を発表したウォール街の大手銀行株も急騰した。
急騰
ナスダックの低迷が続き、不安定な上昇が続いていたニューヨーク証券取引所だが、この日はインフレ鈍化への安堵感から一斉に大幅高となった。
ナスダック指数は前日比466.84ポイント(2.45%)急騰し、1万9,511.23で取引を終えた。
S&P500指数は107.00ポイント(1.83%)急騰し5,949.91で終了、昨年11月以来の最大の日中上昇率を記録した。
ダウは700ポイント超の大幅上昇となり、703.27ポイント(1.65%)高の4万3,221.55で引けた。
ダウ構成銘柄のゴールドマン・サックスが6%超の急騰を見せ、エヌビディアやマイクロソフト(MS)などダウ入りの大手ハイテク株も大幅に上昇し、指数を押し上げた。
大手銀行株の急騰
ウォール街の大手銀行株が久々に大幅高となった。予想外の好決算が株価急騰の引き金となった。
昨年第4四半期の純利益がほぼ倍増したゴールドマン・サックスは34.39ドル(6.02%/約5,368円)急騰し、605.92ドル(約9万4,593円)で取引を終えた。
2023年第4四半期の赤字から一転、昨年第4四半期に黒字を計上したシティグループは4.77ドル(6.49%/約744円)急騰し、78.27ドル(約1万2,219円)となった。
純利益が47%急増した米西部地域の代表的銀行ウェルズ・ファーゴは4.76ドル(6.69%/約743円)急騰し、75.95ドル(約1万1,856円)で引けた。
資産規模で米国最大の銀行JPモルガン・チェースも純利益が50%急増し、4.88ドル(1.97%/約761円)高の252.35ドル(約3万9,398円)で終えた。
これら四大銀行は、いずれも市場予想を上回る業績を発表した。
銀行ではないが、世界最大の資産運用会社ブラックロックも予想外の好決算を受け50.01ドル(5.19%/約7,807円)急騰し、1,013.18ドル(約15万8,183円)で引けた。
テスラ、8%急騰
テスラは取引所全体の上昇基調が鮮明になったことを追い風に8%超の急騰を見せた。31.86ドル(8.04%/約4,974円)高の428.22ドル(約6万6,856円)で取引を終えた。
ウェルズ・ファーゴがこの日の分析レポートでテスラの投資判断を引き下げ(売り推奨)、目標株価を125ドル(約1万9,515円)に設定したにもかかわらず、ドナルド・トランプ氏の再選への期待感が再び株価を押し上げた。
ウェルズ・ファーゴが提示した目標株価125ドルは、この日の終値を71%下回る水準だ。
エヌビディアは6営業日ぶりに反発した。特筆すべき好材料はなかった。これまでの下落幅が過大との判断から買いが集中したとみられる。
エヌビディアは4.48ドル(3.40%/約699円)高の136.24ドル(約2万1,270円)で引けた。
アルファベット、メタ・プラットフォームズは、ともに3%を超える上昇率を記録。マイクロソフト(MS)とアマゾンは、2.5%超の上昇となった。
M7銘柄で唯一2%未満の上昇にとどまったのはアップルだった。
量子コンピューター関連株が急騰
量子コンピューター関連銘柄が急騰した。
クオンタム・コンピューティングは4.12ドル(55.45%/約643円)急騰して11.55ドル(約1,803円)、イオンキューは9.88ドル(33.48%/約1,542円)急騰して39.39ドル(約6,147円)となった。
ディー・ウェイブ・クワンタムとリゲッティ・コンピューティングもそれぞれ20%超の急騰を見せた。
ディー・ウェイブは1.06ドル(22.41%/約165円)高の5.79ドル(約903円)、リゲッティは1.99ドル(22.23%/約310円)高の10.94ドル(約1,707円)で引けた。
国際原油価格、3%前後の急騰
国際原油価格はこの日2%超の急騰となった。
イスラエルとパレスチナが停戦に合意し、19日から人質解放が始まるとのニュースで中東の地政学的リスクが後退した一方で、供給懸念が再燃した。
ロシア産石油の密輸に関与する「シャドーフリート(影の船団)」に対する米国の制裁により、これまでロシアから石油を調達していた中国とインドが中東産石油の需要を増やすとの見方が原油価格を押し上げた。
また、米国の一部パイプラインの閉鎖も原油価格急騰の要因となった。コロニアル・パイプライン社がガソリン漏れを報告し、ジョージア州のパイプラインの一部を閉鎖したことが石油供給懸念を引き起こした。
国際原油価格の指標となるブレント原油の先物は、期近物の3月引き渡し分が前日比2.11ドル(2.64%/約329円)高の1バレル=82.03ドル(約1万2,806円)となった。昨年8月12日以来、約5か月ぶりの高値を付けた。
米国産原油の指標となるウェスト・テキサス・インターメディエイト(WTI)原油の先物も2.54ドル(3.28%/約396円)高の1バレル=80.04ドル(約1万2,495円)で取引を終えた。
WTIは1バレル=80ドル(約1万2,489円)の大台を突破し、こちらも昨年8月12日以来、約5か月ぶりの高値を記録した。