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スペイン政府は、EU市民権保有者や居住者でない不動産購入者に最大100%の税金を課す案を発表した。
14日、英BBCやAP通信などによると、社会党所属のペドロ・サンチェス首相は13日、深刻な住宅不足や家賃の高騰などの問題解決に向けてこの案を提案したという。
スペイン観光局は、昨年スペインに訪れた観光客は過去最多の9,400万人に達したと発表した。主要都市での観光客増加に伴い、住宅所有者が長期賃貸から短期宿泊施設への転換を進めたため、居住用の住宅が減少した。その結果、家賃が上がる事態となった。
さらに、外国人による投機的な購入も重なり、住宅価格はさらに上昇した。
不動産情報会社アイディアリスタによると、昨年のスペインの平均家賃は前年に比べ11.5%上がったという。地域別では、マドリードが16.4%、カタルーニャが12.4%、バレンシアが12.1%の上昇率を記録した。
中古住宅価格も上昇傾向が続いている。
ハフポスト・スペイン版によると、昨年のスペインの中古住宅価格は年平均8.4%上がり、バルセロナのサンツ・モンジュイック地区では19.5%もの上昇率を記録した。
サンチェス首相は「2023年に欧州外の居住者がスペインで購入した住宅、またマンションは合計2万7,000戸に達した」と指摘し、「これは居住目的ではなく、投機による利益を得るためのものだ」と批判した。
サンチェス首相が提案した案は、欧州外の不動産購入者に対して物件価格と同額の税金を課すことで、投機的な不動産取引を抑制する狙いがあるとみられる。
スペイン政府は昨年4月、一定規模以上の不動産投資を行った外国人に居住権を与える「ゴールデンビザ」制度の廃止を発表している。
バルセロナ市は、家賃上昇を抑えるため、2028年11月までにエアビーアンドビーなどの短期賃貸用に登録された1万101戸のマンションの許可を取り消す方針だ。
一方、サンチェス首相は、政府の家賃水準を守る建物への税制優遇措置や、社会住宅の開発、観光目的の賃貸に対する課税強化などの施策も併せて発表した。ただし、具体的な課税の適用時期や対象については言及してない。また、議会の承認も必要であるため、実現可能性はまだ低いとされる。