ドナルド・トランプ米大統領が就任時に北朝鮮を「核保有国(nuclear power)」と定義し、注目を集めている。しかし、当事国である北朝鮮はこれまで特段の反応を示していない。こうした中、キム・ジョンウン国務委員長が早ければ23日に直接メッセージを発表するとの見方が浮上している。
北朝鮮の労働党機関紙「労働新聞」は22日付で、トランプ氏がアメリカの第47代大統領に選出され、現地時間の20日に就任式を行ったと報じた。特に論評を加えず、わずか2文で簡潔に伝えたことが異例である。2017年1月20日の第一次トランプ政権発足時にも、労働新聞は「共和党のドナルド・トランプが米大統領に就任した」と報じ、今回以上に簡潔な表現だった。
注目すべきは、トランプ氏が就任式直後に行った衝撃的な発言である。トランプ氏はホワイトハウスの執務室での記者会見でキム氏について言及し、「彼は今や核保有国だ。私の復帰を喜ぶだろう」と述べ、さらに駐韓米軍とのビデオ通話で「キム・ジョンウンは元気か」と尋ねたという。
このような中、北朝鮮が反応を示さないのは、同日に開催された最高人民会議を考慮したものと見られる。通常、年初の最高人民会議ではキム氏が施政方針演説を行い、翌日には国営メディアがその内容を報じる。したがって、キム氏がトランプ氏の発言に対して直接応答する可能性が高いと予測されている。
キム氏は昨年11月、北米交渉に対する懐疑的な姿勢を示し、先月には「最強硬な対米対応戦略」を表明していた。そのため、即座に交渉に応じる姿勢を示すことはないと見られている。しかし、トランプ氏が北朝鮮が求めてきた核保有国としての地位を認める余地を残したことから、近い将来、非公式な協議が進む可能性があると専門家の間では指摘されている。