中国の国営放送が春節(中国の旧正月)の特別番組で披露したヒューマノイドロボットのグループダンスが世界中から注目を集めた。
30日、香港の「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」などの中華圏メディアの報道によると、中国中央テレビ(CCTV)は春節特別番組『春節聯歓晩会(春晩)』を前日の夜5時間にわたり生放送した。
約50の出し物の中で最も話題を呼んだのは、16台のヒューマノイドロボットが人間のダンサー16人と共演したステージだった。
伝統衣装を身にまとったロボットとダンサーたちは息を合わせ、中国北部の伝統舞踊「ヤンコ踊り(扭秧歌)」を披露した。
特にロボットたちがハンカチを投げて受け取るなどの難度の高い動作を見事にこなすと、観客から大きな拍手が沸き起こった。
映画『紅いコーリャン』などで知られる張芸謀(チャン・イーモウ)監督が演出したこの公演には、中国のロボット企業ユニツリー・ロボティクス(Unitree Robotics)が開発した「H1」が起用された。ロボットたちは3か月間、AI基盤の訓練を受けたという。
中国国外のネットユーザーからも「中国のヒューマノイドロボットの進化が速すぎる」、「SF映画が現実になったようだ」といった称賛の声が相次いだ。

米ロックバンド「ワンリパブリック」の『春晩』出演は、同番組40年余りの歴史で初の米国バンドの出演として注目を集めた。
ワンリパブリックは中国湖北省武漢の歴史的建造物「黄鶴楼」の前でヒット曲「カウンティング・スターズ」を熱唱した。
コロナ禍初期の2020年に武漢で隔離されていた同バンドは、当時の都市封鎖措置への支持を公に表明していた。
台湾、香港、マカオの出演者の出身地が例年と異なり紹介されなかった点については、中国政府の政治的メッセージが込められていると分析されている。
中国のメディアや専門家は、この変化について「我々は皆中国人であり、区別する必要はない」との見解を示している。
地方官僚の間で窓拭きが日課となる様子を描いた風刺的な内容には、習近平国家主席の官僚主義・形式主義打破への意思が反映されていると解釈されている。
CCTVの恒例の春節特番『春晩』は1983年に初めて放送されてから、春節を代表する文化行事となった。中国では家族揃って『春晩』を視聴することが春節の風習の一つとなっている。
今年の『春晩』生放送の視聴回数は昨年より6億9,000万回増の28億1,700万回を記録し、過去最高を更新した。