米国が中国本土に攻撃可能な中距離ミサイルシステム「タイフォン」をフィリピン国内に再配置したことが明らかになった。
先月、ロイター通信はフィリピン政府高官の話として、米軍がフィリピン・ルソン島北西端のイロコス・ノルテ州ラオアグ国際空港に配備していたタイフォンを、ルソン島内の別の場所に移動させたと報じた。
高官によると、今回の移動は、有事の際にタイフォンを新たな発射位置へどの程度迅速に移動できるかを確認するための措置であるという。
インド太平洋地域を管轄する米インド太平洋軍司令部はタイフォンの再配置を認め、「新たな配置場所の選定を含め、フィリピン政府と緊密に協力してきた」と述べた。ただし、今回の措置はタイフォンのフィリピンへの恒久的な配備を意味するものではないと付け加えた。
タイフォンは、トマホーク巡航ミサイルやSM-6迎撃ミサイルを搭載可能で、特にトマホークの最大射程は約2,500キロメートルに達し、フィリピンから中国本土を直接攻撃することができる。米陸軍太平洋司令部は昨年4月以降、ルソン島にタイフォンを暫定配備している。
一方、中国は南シナ海の領有権を巡る対立が続く中、タイフォンの配備について「地域の緊張を高める措置」として強く反発している。これに対し、フィリピン政府は昨年12月、タイフォンを購入し、自国に正式配備する計画を発表している。