自治体が「オーバーツーリズム(観光公害)」を理由に宿泊税の導入に乗り出している。1泊あたり約1万円を課すという自治体も現れ、日本旅行の負担が増す見込みだ。
3日、朝日新聞は、ホテルや旅館などの宿泊客を対象に宿泊税を課す自治体が急増していると報じた。2023年には9つの自治体で宿泊税が徴収されたが、昨年は北海道ニセコ町や愛知県常滑市などが追加され、今年は14の都道府県市町村で宿泊税を課す計画だ。
朝日新聞は「沖縄県、千葉県、熊本市など43の自治体が導入のための具体的な検討を進めている」とし、「導入の動きはさらに拡大しているようだ」と報じた。
宿泊税の引き上げに踏み切る自治体もある。京都市は早ければ来年から宿泊施設利用者に課す宿泊税の上限額を従来の1,000円から1万円に、10倍引き上げる計画を発表した。
京都市はこれまで1人当たり1泊の宿泊料金に応じて200~1,000円の宿泊税を課してきた。現行制度では宿泊料が1泊2万円未満の場合は200円、2万円以上5万円未満の場合は500円、5万円以上の場合は1,000円となっている。
京都市は3段階の現行宿泊税制度を5段階に細分化し、1泊の宿泊料が10万円を超えると宿泊税1万円を支払うことになる計画だ。実現すれば日本国内で最も高額の宿泊税を課す自治体となる。
自治体が宿泊税の導入と引き上げを推進する背景には、観光客の増加によるオーバーツーリズムの問題がある。観光客が急増する一方で、観光案内所やトイレなどの観光施設整備に必要な資金が中央政府の支援金だけでは不足しているためだと見られる。
日本政府観光局(JNTO)によると、昨年の訪日外国人観光客数は過去最高の3,687万人を記録した。このうち韓国人は882万人で、全外国人観光客の中で最大の割合(約24%)を占めた。韓国人に人気の旅行先であることから、日本旅行を計画する韓国人観光客の負担も増すと予想される。
各自治体は宿泊税徴収で確保した財源を観光インフラの拡充に投入する計画だが、観光客減少を懸念する声もある。宮城県は昨年9月に宿泊税の導入を決定したものの、県議会で賛否が分かれ、宿泊業者に負担をかけるべきではないという意見が強まっている。
朝日新聞は「地域の観光ビジョンを描き、住民と共有し、税の使途と効果に関する情報公開を徹底し、定期的に検証する必要がある」との専門家の助言を伝えた。