中小企業を対象に介護休業給付金を拡大
介護休業中の社員の代替要員を雇用したり、その業務を代行する社員に手当を支給する中小企業を対象に給付金を拡大する。
人口の3分の1が65歳以上の高齢者という、世界で最も高齢化が進んだ日本は、高齢の両親などの家族介護を理由に退職する労働者が後を絶たない。
中小企業を対象にした支援金の拡大は、社員がより容易に介護休業を取得できる環境を整え、労働力の流出を防ぐことが目的だ。
10日付の日本経済新聞によると、厚生労働省は年内に中小企業を対象に介護休業給付金を拡大する。介護休業を15日以上取得した社員1人の業務を他の社員が代行した場合、10万円、新たに人材を雇用した場合は30万円を支給する。利用日数が増えれば支給額も増額される仕組みだ。
現在は介護休業を5日以上取得した社員1人の業務を代行した場合と新規雇用した場合、それぞれ5万円、20万円を補助している。
また、介護休業を申請できる社員数も5人まで拡大し、社員が介護休業後に復職する際には40万円が支給される。さらに、短時間勤務を15日以上利用した場合にも1人当たり3万円支給される。
中小企業が社員の介護休業取得により財政的損失を被らないようにすることが主な狙いだ。
日本の経済産業省によると、高齢化に伴い介護需要が増加し、仕事と家族の介護を両立しなければならない労働者は、2012年の211万人から2030年には318万人に達すると予測されている。
日本より出生率が低い韓国も、昨年12月時点で人口に占める65歳以上の高齢者の割合が20%を超える「超高齢社会」に正式に突入した。
日本以上に高齢化が急速に進む中国の場合、3年後には高齢者人口が3億人を超え、2050年には5億人に迫り、前例のない世界最大の「高齢者大国」になると予測されている。
現在、介護休業制度は家族1人当たり最大93日(3回に分割可能)まで取得できる。しかし、2022年の「就業構造基本調査」によると、実際に介護休業を取得した労働者の割合は全体のわずか1.6%だった。介護休暇や短時間勤務まで含めても利用率は11.6%にとどまった。
介護を理由に退職する人は年間10万人に上る。厚生労働省によると、介護退職者の40%以上が退職理由として「会社に関連制度がないか、あっても利用しづらい雰囲気がある」と回答している。
関連制度があっても実際には利用されないケースが多いため、政府が積極的に環境整備に乗り出す方針だ。
既存の法律には明確な規定がなかったが、知的障害や自閉症など
の発達障害を持つ子どもを育てる親も利用できるよう規定を明確化する。また、勤続期間が6か月未満の社員も介護休暇を取得できるようにする。
同時に、今年4月から予定通り、企業に対して社員に介護休業に関する情報提供を義務付ける改正法も施行される。
介護休業の取得率が育児休業と比べて著しく低い。育児休業については、制度の周知や取得意向確認措置がすでに2022年に義務化された。育児休業取得率は2023年時点で男性が30.1%、女性が84.1%に達している。
日本経済新聞は「介護休業は出産後必ず取得する産休とは異なり、社員が自ら申請しなければ企業が個別の事情を把握しにくい構造的な問題がある」とし、「今回の法改正を機に介護休業に対する認識と活用度が高まるかどうかに注目が集まる」と伝えた。
また、韓国でも介護人材不足が深刻化しており、身元が不確かだったり介護業務に不適格な外国人従事者が急増し、虐待や放置、暴行などさまざまな問題を引き起こしている。
先月も京畿道(キョンギ道)の介護病院で、朝鮮族の介護者が眠らないことを理由に90代の患者を暴行し、結果的に死亡させる事件が発生した。
昨年、毎日経済新聞が国内の介護病院100か所を対象に実施した調査によると、外国人介護者のみを雇用している施設が半数近くに上り、介護者の出身は朝鮮族と高麗人が80%を占めると推計された。