暗号資産（仮想通貨）を支持したことで大統領が弾劾の危機に直面している。大統領が暗号資産を支持すると、投資家が殺到し、価格は一時5ドル（約758円）まで急騰したが、わずか数時間で最高値から94%暴落し0.19ドル（約28円）まで下落した。
専門家らは、これを典型的な詐欺手法である「ラグプル（Rug Pull）」だと指摘した。ラグプルとは、プロジェクト責任者が投資家から資金を集めた後、突然全ての資金を引き出して姿を消す詐欺を指す。野党はこれを受けて、大統領の弾劾を進めている。
アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は14日（現地時間）、リブラというミームコインが中小企業に有利だとして支持した。これを受けて、投資家が殺到し、価格は一時5ドルまで急騰した。
しかし、わずか数時間後には価格が94%も下落し、0.19ドルまで暴落した。価格暴落を受け、慌てた大統領は既存の宣伝投稿を削除し、新たな投稿で「価格の暴落は自分とは無関係だ」と述べ、「支持を撤回する」と明らかにした。
リブラは、フェイスブックが発行した暗号資産で、同社は子会社カリブラを通じてブロックチェーン基盤の暗号資産リブラを公開していた。リブラは、安全な実物資産を担保に、迅速かつ低コストの海外送金サービスの提供を目指している。
ミレイ大統領が「自分とは関係ない」と釈明したものの、野党は弾劾を進める方針を固めた。アルゼンチン野党連合所属のレアンドロ・サントロ議員は15日「大統領がラグプルに関与している可能性がある」とし、「弾劾を進める」と述べた。
中道右派市民連合のマクシミリアーノ・フェラーロ議員も「アルゼンチン議会は事実を明らかにし、責任者を特定するために特別調査委員会を設置すべきだ」と述べた。
クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル前大統領も「ミレイ大統領は暗号資産の詐欺師だ」と呼び、弾劾を促したと暗号資産専門メディアのコインデスクは伝えている。