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ロシアの元首相ミハイル・カシヤノフ氏が「米露首脳の考えの相違により、ウクライナ戦争終結に向けた実質的な交渉は困難だろう」と17日に述べた。
カシヤノフ氏はプーチン大統領の第1期政権で首相を務めたが、後にプーチン大統領の批判の対象となった。
カシヤノフ氏は15日、NHKとのインタビューで、米露が戦争終結に向けて合意したことについて、「トランプ米大統領とその政権はプーチン大統領の交渉目的を十分に理解していないようだ」と指摘した。
具体的には、トランプ大統領が単に戦争の終結を望んでいるのに対し、プーチン大統領は米国とウクライナ問題にとどまらず、北大西洋条約機構(NATO)の拡大など欧州の新たな安全保障体制や中東問題についても協議したいと考えているとみている。そうすることで、ソ連時代のように二大国が世界の運命を決定する姿を見せつけたいと考えていると指摘した。
カシヤノフ氏はこの理由から「今後数か月以内に和解に達する可能性は低い」と悲観的な見解を示した。また、和平交渉の話が出ているにもかかわらずロシアが戦闘を継続していることについて、「ロシアはウクライナに比べて人的資源と財政・経済的資源で大きく優位に立っている」と指摘し、勝利の見込みがある中で戦争を中止する理由がないと説明した。
カシヤノフ氏は2000年に始まったプーチン大統領の第1期政権で首相を務めた。しかし、政策を巡る対立により解任された。その後、ロシア外に滞在しながらプーチン政権への批判を続けている。